桐蔭学園2冠 超ロースコア決勝制した 前回、県大会敗退から城主将「1年間を逆算した」
「全国高校ラグビー・決勝、桐蔭学園8-5東福岡」(7日、花園ラグビー場)
Aシード同士の決勝戦が行われ、桐蔭学園(神奈川)が3大会ぶり4度目の優勝を果たした。前回大会は神奈川決勝で敗れて出場を逃し、2大会ぶりの出場となったが、初めて決勝で東福岡(福岡)を破り、昨春の全国選抜大会との2冠を達成。2連覇を狙った東福岡は僅差で及ばなかった。両校とも強力なディフェンスで緊迫した展開となった一戦は、桐蔭学園が前半にPGとWTB田中健想(3年)のトライで奪った8点を守り切った。
どん底からつかみ取った栄光だ。頂上決戦にふさわしい大接戦を制し、桐蔭学園フィフティーンは両手を寒空に掲げて喜びを分かち合った。
チームをけん引したナンバー8城央祐主将(3年)は「まだ実感が湧かない」と興奮に震えた。前回大会は神奈川大会決勝で東海大相模に1点及ばず敗れ、出場を逃した。その後、城らチームメートはライバルたちのプレーを花園で観戦して悔しさをかみしめた。そして「1年後ここで試合をするというのを想像して、何をしないといけないか、1年間を逆算した」と新しいスタートを切った。
全国選抜大会は決勝で東福岡に34-19で勝利し制覇。再び決勝で同じ顔合わせとなった今回も互いにフィジカルの強さをぶつけ合った。前半はFB吉田晃己(3年)のPGで先制。さらに24分、敵陣ゴール前で相手のミスからWTB田中想がこぼれ球を拾い、右中間にトライを決めて8点リードで折り返した。
後半は東福岡に1トライを許し3点差に迫られたが、気迫のタックルで追加点を阻止した。「終盤しんどい時間になったが、体を張って頑張ろうと。向こうも死ぬ気で来るので」と城。一丸で集中力をみせた。
優勝回数と同じ4度、宙を舞った藤原秀之監督(55)は「まだ胴上げをするDNAが残っていたんですね」と成長した選手たちに目を細めた。転機となった東海大相模戦後は「やってきたことがダメだと分かったので、いろいろ試行錯誤した」と基礎プレーの練習を徹底。コロナ禍で制限され、平日2時間だった練習時間も2時間半~3時間に延ばした。
時には「今年全国に出られなかったら桐蔭学園は沈んでいく」など心ない声も届いたが「私は逆に燃えた」と振り返った指揮官。敗戦からの大復活を「ロースコアでしびれる決着。選手たちはいい歴史を築いてくれた」と締めくくった。
◆ロースコア決勝 決勝のスコアがともに1桁得点となったのは、1987年度の第67回大会で、秋田工が相模台工(現・神奈川総合産)を9-4で下して以来36大会ぶり。92年のルール改正でトライによる得点が「4」から「5」に変更となってからは、決勝で両チーム合計13得点は最少。