本田真凜 最後の全日本で見せた笑顔と涙は本当に美しかった
フィギュアスケート女子で16年世界ジュニア女王の本田真凜(22)=JAL=が11日、都内で引退会見を行った。5日にマネジメント会社を通じて今季限りでの現役引退を発表していた。白色のパンツスーツで登場した本田は「幸せな競技生活でした」と終始晴れ晴れとした表情で語り、涙はなかった。約100人の報道陣と14台のカメラの前で約30分間思いを語り、今後はプロスケーターとして活動していく方針を示した。
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記者が担当し始めた頃は、まだ中学生。おしゃべり好きな関西人らしく、話を少々盛るところはあったけれど、それもご愛嬌(あいきょう)。天真らんまんな女の子だった。
15歳だった17年世界ジュニア選手権では、日本歴代3位(当時)の得点で、後に平昌五輪を制したザギトワに次ぐ2位。演技直後「紗来~望結~」と画面越しに呼びかけ、「お姉ちゃんらしいところを見せられた」と笑っていたことを思い出した。印象に残る場面について、大きな国際大会ではなく「きょうだい4人で優勝できた時」と答えたのは、実に彼女らしいと思った。
その後は苦難の方が多かったはず。葛藤の言葉も多く聞いた。何よりあの愛らしい笑顔が見られなくなったことが気がかりで、声をかけることすらためらう時期も正直あった。
それでも「当時の私より、今の方がスケートが好き」と言えるのは素晴らしいこと。最後の全日本で見せた晴れやかな涙と笑顔は本当に美しかった。(デイリースポーツ・16~22年スケート担当・國島紗希)