照強 使命の連勝 阪神・淡路大震災の日に生まれた男 能登半島地震の被災者へ「少しでも励みに」

 「大相撲初場所・3日目」(16日、両国国技館)

 阪神・淡路大震災が発生した1995年1月17日に震源地に近い淡路島で生まれた元幕内の幕下照強(伊勢ケ浜)が朝乃若を寄り切って2連勝とした。元日に起きた能登半島地震の被災者にも思いをはせ、29回目となる節目の前日に白星を挙げた。横綱照ノ富士は平幕阿炎を下して2勝目。大関陣は霧島と豊昇龍が3連勝を飾ったが、貴景勝は平幕若元春に苦杯をなめた。幕内の全勝は大関2人と関脇琴ノ若、平幕の朝乃山、島津海の5人となった。

 これまでにも増して、心に期するものはあった。照強はしっかりと結果で思いを形にした。元十両の朝乃若を左差しから寄り切って快勝。連勝発進は「まだ2連勝ですしね」と淡々と受け止めた。

 淡路島で震災をまたいで15時間の難産の末に生まれた。初場所では毎年、自身の取組が話題になる。節目の前日に白星。今年は新たな思いも混在した。

 「勝ってよかった。震災もだけど、1日の地震の人たちもみんな同じ気持ちだと思う。被災されている方も含め、少しでも励みに、力になれればいい。こういう力士がいるんだと知ってもらえたら」

 そう能登半島地震の被災者を思いやった自身も、苦闘から逃げていない。糖尿病の影響で番付を下げ、昨年春場所からは幕下に。体調は良いとは言えない。現在の体重は約100キロ。幕内にいた2年前に比べ、20キロ近く減った。それでも土俵に上がり続けるのは、故郷をはじめとする温かい支えのおかげ。「みんなに応援してもらってますから。やるからには全力でやらないといけない」と決意を口にした。

 年を追うごとに、自分の相撲で被災者を元気づけたいという使命感は「強まっている」という。阪神・淡路大震災は来年で発生30年。照強は「『節目』であって『記念』ではない。29年も30年も、1年1年しっかりやるだけ」と話す。

 1・17の震災発生時刻、午前5時46分には毎年、黙とうをささげる。「明日の朝もしっかりやろうかなと思います」。取組のない29歳の誕生日も変わらぬ節目を過ごし、また戦いの土俵に向かう。

 ◆照強翔輝(てるつよし・しょうき)本名・福岡翔輝。1995年1月17日、兵庫県南淡路市出身。小学4年時に地元道場で相撲を始める。中学卒業後に角界入り。10年春場所で初土俵を踏み、19年春場所で新入幕。同名古屋場所で12勝を挙げ、敢闘賞を受賞した。趣味はサッカー観戦、DVD観賞。得意手は右前ミツ・投げ。169センチ、107キロ。O型。

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