王鵬 命日星 祖父・大鵬へささげる-1・19初めての勝利「帰ってから手を合わせます」
「大相撲初場所・6日目」(19日、両国国技館)
平幕王鵬が遠藤を押し出して5勝目を挙げた。19日は2013年に亡くなった祖父の元横綱大鵬、納谷幸喜さんの命日。18年の初土俵から1月19日は勝てていなかったが、初めて勝利をつかんだ。横綱照ノ富士は翔猿を押し出して1敗をキープ。綱とりの大関霧島も1敗を守ったが、豊昇龍は阿炎に引き落とされて2敗目。関脇琴ノ若は初黒星を喫し、平幕朝乃山が6戦全勝で単独トップに立った。
幕内優勝32回を誇る昭和の大横綱、大鵬が旅立って11年。命日に、孫が初めて白星をささげた。王鵬は「今年は帰ってから手を合わせます」と、静かに喜びをかみしめた。仏壇の前で、長年できなかった良い報告がやっとできる。
低く当たってきた遠藤をいなして体を入れ替えると、ぐんぐんと前進して完勝。2018年初場所に初土俵を踏み、命日の白星は5度逃してきた。理由について「いつも意識し過ぎていたのかな」と苦笑いしながら説明した。
あえて普段通りの気持ちで土俵に上がった。「1月19日だけが特別な日ではない」。昨年までは取組前までに一度、仏壇に手を合わせていた。今年は勝負を済ませてからだ。
稽古の鬼だった祖父のように、自身も努力を血肉に変える。場所前の出稽古では、番付上位陣とも数をこなしてきた。特に今場所は大関とりの琴ノ若との取組が生きている。
「押しても押している気がしない。それをとらえきれたらもう一歩先にいける」。
照れくさそうに「毎日同じ気持ちで頑張っているけど」と苦笑いを浮かべたが、やはりこの日の勝利は誇らしい。「負けるよりは良いですね」と胸を張った。