平野美宇vs伊藤美誠 パリ切符かけて全日本で最終決戦 最後の1枠に必要な互いの成績とは

 五輪切符を争う(左から)伊藤美誠と平野美宇
 全日本選手権での五輪切符の行方
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 卓球の全日本選手権は22日に東京体育館で開幕する。国内選考会を中心に2年間行われたパリ五輪代表選考の最終対象大会でもあり、女子シングルスは早田ひな(23)=日本生命=が五輪切符を決めているため、残りは1枠。選考ポイントで2番手の平野美宇(23)=木下グループ=と3番手の伊藤美誠(23)=スターツ=の一騎打ちとなるが、ポイント差は34・5点と僅差。層の厚い女子は序盤から難敵ぞろいとあって、伏兵に足をすくわれれば予想外の“早期決着”となる可能性もあり、壮絶なサバイバル戦となりそうだ。

 五輪切符争いはともに2000年生まれの盟友、平野と伊藤の一騎打ちとなった。2年間の代表争いの総決算となるが、見誤ってはいけないのは2人の直接対決で決まるわけではない点だ。別ブロックに入ったため決勝までは当たらない。切符のゆくえはそれぞれの戦い次第となるが、伊藤が逆転切符をつかむには今大会で34・5点差を覆さなければならず、限りなく優勝に近い成績が求められる。

 現時点で上位につける平野の優位は間違いない。決勝に進めば、伊藤の成績にかかわらず自力で五輪切符が確定する。ただ、準決勝は五輪代表を決めている早田戦が濃厚。また、6回戦で当たる可能性のある大藤沙月(ミキハウス)には直近の対戦で敗れており、序盤戦のヤマ場となりそうだ。

 東京五輪代表争いでは、最終盤の国際大会決勝で石川佳純との直接対決に敗れ、シングルス代表から逆転で落選した。苦い記憶があるだけに「1回経験しているからこそ最後に絶対に自分が(シングルスで)行くんだという強い気持ちで戦う」と決意を語っている。

 一方、3大会連続の五輪が懸かる伊藤もいばらの道となる。初戦から世界ユース4冠の小塩悠菜(15)=星槎中=と当たる可能性があり、以降も出沢杏佳(専大)、昨年敗れている横井咲桜(ミキハウス)と難敵ぞろい。そして最大の関門となりそうなのが準決勝で、木原美悠(木下グループ)か張本美和(木下アカデミー)のどちらかが濃厚。特に15歳の張本には昨年11月の対戦で敗れており正念場となりそうだ。

 かつては全日本選手権2年連続3冠も達成したことのある第一人者。「(全日本は)試合数が多いので、初戦から楽しんでできるようにしっかり練習したい」。東京五輪の混合ダブルスで日本初の金メダルに輝いた実力は誰もが知るだけに、完全復活が待たれる。

 五輪切符が懸かる2人は初戦から極限のプレッシャーで戦わなければならない一方、相手が思い切り向かってくる序盤をいかに乗り切るかがカギとなる。世界屈指の技術を持つ2人だからこそ、あとは胆力と底力と執念の戦いとなりそうだ。

 ◆平野美宇(ひらの・みう)2000年4月14日、静岡県沼津市出身。両親の影響で3歳から卓球を始めた。14年ドイツ・オープン女子ダブルスで、伊藤美誠との「みうみま」ペアでワールドツアー史上最年少優勝。17年は全日本選手権で16歳9カ月の史上最年少制覇を達成すると、4月のアジア選手権では中国選手を3人撃破して優勝し、5月の世界選手権シングルスで日本勢48年ぶりの銅メダルを獲得した。21年東京五輪で団体戦に出場し銀メダル。158センチ。

 ◆伊藤美誠(いとう・みま)2000年10月21日、静岡県磐田市出身。卓球選手だった母の影響で2歳から競技を開始した。高校1年時の16年リオデジャネイロ五輪に初出場し、女子団体で銅メダルを獲得。18、19年の全日本選手権では、シングルス、ダブルス、混合ダブルスで女子史上初の2年連続3冠を達成した。21年夏の東京五輪では混合ダブルスで日本勢初の金メダルに輝き、シングルス銅、団体でも銀を獲得した。153センチ。

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