陸上・田中希実が黒柳徹子と対談「走ることに集中しなさいと言ってくださったことが、すごく勇気になりました」
陸上女子中距離のエース・田中希実と俳優・黒柳徹子が19日に放送されたNHK「かんさい熱視線」で対談した。昨年12月2日の日体大長距離競技会の女子5000メートルで田中は自己記録を大きく下回ったが、その2週間後に実現。田中は幼い頃から悩んだときに黒柳の著書「窓ぎわのトットちゃん」や生き方に支えられてきたといい、自分らしさを取り戻すきっかけをつかみたいと対談を熱望したという。
2021年東京五輪後に「私自身が走って何かを伝えたいと思っていること自体がいいのかなと思ったり、なんで自分で走ってるのかなと考えることが増えたりした」と打ち明けた田中。これ対して黒柳は「あなたは走ってるんだから、そういうふうに思ってもあまり意味がないんじゃないかなと思うけど。だって速いから走ってるんでしょ。走るのは好きでしょ。だったらあんまりそのことについてあれこれ悩んだりしないで、どんどん走ったらいいんじゃないかと思うけど」と助言した。
黒柳から「どういうことが一番楽しい?」と質問された田中が「本を読んでいるときが一番楽しい。走っているときも本当の自分らしさを出せるんですけど、ジョギングペースで自分の気持ちと向き合ったり、景色を眺めて風を感じたりという時間が好き」と答える場面も。逆に田中から「信念に向かうに当たって、感情のコントロールはどうされているのか」と質問された黒柳は「芸能界にも競争みたいなところがあってね。みんなの方がうまくて私は演劇は素人。おまえのは日本語とは思えないとまで言われて。あたし芸能界に入って一回も泣いたことないのに、そのときだけは泣いたんです。悔しいって、涙が出てきて」とテレビ女優第1号として活動を始めたころのエピソードを披露した。
1時間半に及んだ対談の最後には、田中からトットちゃんに会ったらかけたい言葉を聞かれた黒柳が「私ね、トットちゃんの頃から、本当のところは変わってないと思ってる。それはそれでまあいいかと。あなたもあまりくよくよしないで。あなたは十分魅力的なんだから、このままやっていけばいいと思うようにした方がいい。第一、その方がよく寝られる」と激励。田中が「徹子さんもトットちゃんのままで大人になったように、私も(愛称の)のんちゃんのままで大人になれたのは恥じることでもないし、むしろ喜ばしいこと。でもそののんちゃんが周りに迷惑をかけないように見張っていこうと思いました」と話すと、黒柳は「それでいいんじゃない」と応じた。
対談後の初レースとなった14日の全国都道府県対抗女子駅伝に兵庫の2区で出場した田中は、19人抜きで首位に立つ快走。番組で田中は「いまは走ることに集中しなさいと言ってくださったことが、すごく勇気になりました。ありのままの自分を受け入れながら、よかったなと思える年にしたい」と黒柳への感謝とともに今夏のパリ五輪へ決意表明した。