琴ノ若 単独トップ 大の里との注目1敗対決貫禄勝ち 悲願の大関昇進まで“マジック4”
「大相撲初場所・10日目」(23日、両国国技館)
大関昇進を目指す関脇琴ノ若が、新入幕の大の里を寄り切りで下した。注目の1敗対決を制し、優勝争いの単独トップに立った。綱とりの霧島と豊昇龍の両大関は2敗を死守。霧島に敗れた阿武咲は2敗目を喫した。横綱照ノ富士は金峰山を下して2敗を守り、昨年夏場所以来の勝ち越しを決めた。1敗の琴ノ若を1差で照ノ富士ら5人が追う展開となった。
貫禄の勝利だ。仕切りで鋭いまなざしを大の里に向けた琴ノ若。経験値では間違いなく勝る関脇が、立ち合いでもろ差しを決めて相手の長所を封じた。俵の外へ向かって一歩、また一歩と前進。三役力士の意地を見せんと寄り切って土俵外に飛ばすと、1敗対決の決着に館内が熱く沸いた。
「いつも通りの相撲を取ろうと思っていた」と特別な意識はなかった。親子3代の関脇を実現した角界のサラブレッドVSざんばら髪の新星という構図。しかし、関脇にとっては「まげを結っていようが、ざんばらだろうがそこ(土俵)に立っていたら」と関係ない話だ。
いつでも、どこでも泰然自若を貫けるのが琴ノ若の強み。場所中も睡眠時間はきっちり7、8時間と十分。「どこでも寝られる。のび太くんタイプなんで」と胸騒ぎで寝られないことは、ほとんどないという。少年時代からマイペースで、布団に転がるとすぐに寝入ってしまうほどだ。
大関とりで生前の先代と交わした『琴桜』襲名へ。昇進の目安とされる直近3場所合計33勝に、残り五番の終盤戦で“マジック4”とした。ただ、星勘定は気にしない。「やってきたことを信じてやるだけ。今、星数を気にしても仕方ない」と自分の相撲を取ることにまい進するだけだ。