卓球全日本選手権にパラリンピアン岩渕幸洋が初出場 1勝ならずも感慨「健常の卓球と違いはない」障がい者王者に門戸で実現
「卓球・全日本選手権」(24日、東京体育館)
男子シングルス2回戦で、東京パラリンピック代表の岩渕幸洋(29)=協和キリン=が推薦で初出場した。山岸駿(新潟産大附高)に0-3で敗れたが、パラスポーツの代表として全日本選手権の大舞台に立ち、「この舞台で試合をさせていただき、幸せを感じた。一選手としてはチャンスが増えることはうれしい気持ち」と感慨を込めた。
岩渕は先天性の両下肢機能障がいがあり、左足には装具をつけてプレーするパラ卓球界のエース。初の全日本選手権で、第3ゲームには盛り返して10-8と一時ゲームポイントを握る場面もあったが、1ゲームを奪うことはできなかった。「出るだけで終わらないように、どう勝ちを目指すかが大きな目標だったが、悔しい大会になった」と振り返りつつ、「自分の中では健常の卓球と違いはないと思っている。自分の卓球のレベルを上げることが大事」と、今後への糧として受け止めた。
日本協会は今大会から出場ルールを改め、加盟団体である日本知的障がい者連盟、日本肢体不自由者協会、日本ろうあ者協会の3団体の王者に対して推薦出場枠を設け、門戸を開いた。岩渕は「卓球選手である以上、全日本選手権も憧れの舞台の一つ。こういったチャンスで出られることは選手として恵まれていることだし、こういうルール作りをしていただいたことに感謝したい」と語った。
パラリンピックには16年リオデジャネイロ、21年東京と出場し、今夏のパリ大会出場を目指している。今春まで出場権争いが続くだけに「まずは出られるように。パリを集大成とする強い気持ちを持ってやりたい」と決意を語った。