伊藤美誠 逆転五輪出場へ「全て出し切る」 残り一枠懸け運命の最終決戦「優勝することが一番の目標」
「卓球・全日本選手権」(24日、東京体育館)
逆転で3大会連続の五輪出場を狙う伊藤美誠(23)=スターツ=が会場で練習を行い、記者会見した。26日から出場する女子シングルスはパリ五輪代表の最終選考対象となるが、「優勝することが一番の目標」と決意表明。ジュニアの部は決勝が行われ、今大会3冠を目指す15歳の張本美和(木下アカデミー)が面手凜(岡山・山陽学園高)を3-0で破って2連覇を達成。同男子は、松島輝空(16)=木下アカデミー=が初制覇した。
運命の最終決戦を目前にしながらも、伊藤はどこかリラックスした様子で意気込みを語った。「まずは、自分にできることを全て出し切って優勝することが一番の目標」。3大会連続の五輪が懸かる大一番となるが、気負いすぎずに目の前の試合に集中する姿勢を強調し、「他の選手のことは考えてない。まずは自分ができることを全てやって、優勝するという思いでやっている」と決意を込めた。
五輪代表レースでは現在3番手。2番手の平野美宇(木下グループ)を34・5点差で追っており、残り1枠のシングルス代表を逆転でつかむには最低でも8強以上が必須となる。平野とは決勝まで当たらず、ライバルが決勝に進出した時点で自力での五輪が消滅するだけに「(自分が)優勝しても決勝の相手が平野選手だったら(代表は)平野選手なので。誰が相手でも優勝するっていうのが目標」。選考状況を冷静に受け止めた上で、あくまで自身の戦いだけに集中する考えを示した。
昨年末には咳(せき)に悩まされ、肋骨(ろっこつ)も痛めていたというが、「すごく今はいい感じ」と笑顔。「ぜんそく手前くらい咳が出ていて、肋骨(の痛み)が危なかったりしたが、ギリギリ耐えた。今は一番調子が良い。自分でもよくここまで合わせられたと思う」とコンディションにも自信をのぞかせた。
この日3回戦まで行われ、伊藤の初陣となる4回戦の相手はTリーグでもプレーする野村萌(デンソー)に決まった。初戦から難敵ぞろいで、準決勝まで進めば15歳の張本美と対戦する可能性も高い。いばらの道となるが、かつて2年連続3冠も達成したこともある第一人者は「(全日本に)小さい頃から出て、何度か優勝して、(最終日の)準決勝、決勝の舞台で試合できるのが好きな瞬間。(初戦から)全てがとても大事な試合なので、楽しみたい。睡眠をいっぱいして、ご飯を食べて(万全で)試合に挑みたい」と肩の力を抜いた。大会史上に残るサバイバル戦へ、人事を尽くして天命を待つ構えだ。