現役慶大生・尾崎野乃香 一時消滅のパリ切符獲得 残り9秒89から大逆転「全ての気持ちを背負って出たい」

 「レスリング・パリ五輪女子68キロ級代表決定プレーオフ」(27日、味の素ナショナルトレーニングセンター)

 女子6階級で唯一、パリ五輪代表が決まっていなかった68キロ級のプレーオフが行われた。世界選手権65キロ級女王の尾崎野乃香(20)=慶大=が、同5位の石井亜海(育英大)に5-4で競り勝った。1点を追う状況で、残り9秒89から2点を奪って大逆転し、“現役慶応レスラー”が初の夢切符をつかんだ。

 “伝家の宝刀”がさく裂した。残り時間9秒89で3-4と崖っぷちの場面。尾崎は小学生の時から武器にしてきた片足タックルを繰り出し、素早く背後に回った。テイクダウンを奪い大逆転。自身初の五輪切符を獲得し、母の利佳さんら応援団から拍手が送られると、涙があふれた。

 「応援されて愛されて…。ここまでくることができたのは自分の力じゃない。幸せ」

 元々は62キロ級。22年の国内代表争いで敗れ、一時はパリ五輪への道が消滅した。ただ、23年世界選手権で石井が68キロ級の五輪代表決定を逃したため、階級を上げて再挑戦。同年12月の全日本選手権を制し、プレーオフに望みをつないだ。

 慶大の環境情報学部に通い、イスラム文化を専攻する20歳。文武両道を目指し、26日の夜もリポートに取り組んだ。

 現在は体重が66・5キロしかなく、今後は海外勢と渡り合うために68キロまで増量していく予定だ。「日本代表として全ての気持ちを背負って出たい。金メダルを取れるように」。“現役慶応レスラー”がパリで頂点を狙う。

 ◆尾崎野乃香(おざき・ののか)2003年3月23日、東京都足立区出身。水泳、ダンスなどさまざまな競技を経験し、7歳からレスリングを始めた。高校進学と同時に18年からJOCエリートアカデミーに入校し、卒業後は慶大に進学。世界選手権では21年大会に現役慶大生として64年ぶりに出場。62キロ級で銅メダルを獲得した。23年大会は65キロ級で優勝。名前の由来は「春の息吹のように優しい影響力を与える人になってほしい」という願いから。164センチ。

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