15歳張本美和 最年少Vまであと2勝 木原をストレート圧倒 五輪選考レースにも冷静「頭にない」

 「卓球・全日本選手権」(27日、東京体育館)

 女子シングルス準々決勝で、15歳の張本美和(木下アカデミー)が木原美悠(木下グループ)にストレート勝ちし、初の4強入りを決めた。同種目の史上最年少優勝にあと2つとした。早田ひな(日本生命)も4強入りし、パリ五輪代表を確実にした平野美宇(木下グループ)は赤江夏星(デンソー)に敗れ準々決勝敗退。男子は張本智和(智和企画)が準決勝に進み、美和との史上初の兄妹Vに望みをつないだ。女子ダブルスは長崎美柚(木下グループ)、木原組が初制覇。男子ダブルスは小林広夢、伊藤礼博組(日大)、混合ダブルスは篠塚大登(愛知工大)、木原組が制した。

 快進撃を続ける怪物が衝撃的な殊勲星を挙げた。張本美は実力者の木原に何もさせず、鋭いボールを打ち続けてストレートの圧倒。「自分の流れをずっと保ったまま試合をすることができた」。同じ所属同士とあって、ベンチにコーチは不在だったが、自ら考えて戦術を転換。反撃の糸口を与えずにねじ伏せるという大物感たっぷりの勝ちっぷりで、最終日に残った。

 16歳7カ月で制した平野美宇を抜く、15歳6カ月での最年少制覇まであと2つ。さらに、智和と兄妹シングルス同時制覇となれば史上初の快挙となるものの「目指すのは優勝で変わらないが、最年少(記録)に何か思うことはない。お兄ちゃんは昨年(の自分の年齢で)優勝しているので本当にすごい」と、肩に無駄な力が入る様子はない。

 パリ五輪のシングルス代表2枠には届かなかったものの、3枠目となる強化本部推薦の団体戦代表選出に向けても、この1勝が持つ意味は小さくない。選考レース5番手につけていたが、木原との直接対決を制したことで4番手に浮上。さらに、3番手の伊藤美誠が辞退の可能性も示唆している状況下だが、渦中の15歳はいたって冷静で「別に何も思わない。全日本は五輪に関係なく、優勝を目指している。五輪のことは頭にないし、この試合を勝ち切ることしか考えてない」と言い切った。

 それでも、この過酷なトーナメントを勝ち抜けば、機運はおのずと高まる。15歳のシンデレラストーリーが少しずつ現実味を帯びてきた。

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