前田穂南の快挙を野口みずきさん祝福「風穴を開けてくれた」抜け出した度胸に感嘆「世界に近づいた」「ビンテージ者は去ります(笑)」
「大阪国際女子マラソン」(28日、ヤンマースタジアム長居発着)
今夏のパリ五輪の出場権をかけたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジとして行われ、21年東京五輪代表の前田穂南(27)=天満屋=が2時間18分59秒で、05年のベルリンマラソンで野口みずきがマークした2時間19分12秒の日本記録を塗り替えた。設定記録の2時間21分41秒も突破して日本人トップの2位でゴールし、パリ五輪代表3枠目の1番手となった。
この日、テレビの解説で会場を訪れていた野口さん。表彰式では前田に花束を手渡し、「素直にうれしかった。目の前で記録更新を見られてワクワクしました。私の記録もあと1年で成人式を迎えられたと思うと寂しいけど(笑)」と笑みを浮かべた。
前田は「ずっと目指していた。うれしいです」と語ると、アテネ五輪で金メダルを獲得している野口さんは「いい風穴を開けてくれたと思う。世界の舞台で戦えるように目指してほしい」とエールを送った。
記者会見を行った野口さんのコメントは以下。
「記者会見、何年ぶりでしょう(笑)あと1年で、私の記録も昔の成人式だったら迎えられた。
本当に内容がすばらしかった。全てペースメーカーに任せてではなく、自分でペースを作って、置いていったあの度胸。世界に近づいたと見せつけてくれた。
エデサ選手に付かれて、ずっと差をキープして離れない。なかなか諦めない気持ちがこの記録を生んだ結果。とはいえ日本記録はでましたが、世界記録、2時間18分台はゴロゴロ出ています。この記録で多くの選手たちが刺激を受けたと思う。他の選手も18分台を切るような選手がでてきてほしい。良い風穴をあけてくれた。
私にとってもスペシャルな日だった。もうワクワクしました。『どうしよう、抜かれる』じゃなくて、もう1つ前にいったらいけるよと興奮しっぱなしでした」
-19年の重み
「ずっとこれから、明日から私の記録が画面に出てくることはないんだろうなと、寂しい思いもあったり。でもすごくうれしい、頼もしい。どんどん塗り替えていくんだなと。さようなら2時間19分12秒、グッバイと(笑)。色んな方が記録を塗り替え、メダルを獲得して、色んな刺激を与えてくれた。ライバルがいたからこその2時間19分12秒だった。あの良い時代が終わったのはちょっとさみしい。常識を覆す走りを前田選手はしてくれた」
-19年破られなかった背景
「やはり常識にとらわれすぎたり、常識は練習だったり、新谷選手が1年前、2時間19分台で走ってそこから刺激を受けたはずなのに、そこから記録があまりなかったと思います。自分にフィルターをかける選手が多かったのかなと。でもそこを前田選手が大きく覆してくれた。たくさんの選手が見ててくれましたけど、刺激になったと。人と比べてはいけない、70パーセントではいけないと感じてくれたら。決められた自分の中での目標をもって、そこを大きく超えるんじゃなくて、満足な選手がいたと思う。そういうことを見せつけてくれて良かった。(次に前田の取材が控えており)はやくヒロインを呼んでこないと、ビンテージ者はこれで去ります(笑)」