照ノ富士が復活優勝 琴ノ若との決定戦を力で制し「心だけ折れないように」「優勝する度久しぶり」国技館が大熱狂
「大相撲初場所・千秋楽」(28日、両国国技館)
横綱照ノ富士が昨年の5月場所以来、幕内通算9回目の優勝を飾った。2敗をキープしていた琴ノ若との優勝決定戦となったが、白熱の力相撲の末、寄り切った。
両者の名前が呼び出されると、国技館は大きな拍手に包まれた。熱気が伝わってくる中、仕切りを重ねた照ノ富士と琴ノ若。激しくぶつかり合う力相撲となり、一旦は琴ノ若が優勢かと思われたが、照ノ富士がまわしをとり、最後は力強く寄り切った。
本割では琴ノ若が翔猿を下し、照ノ富士も怪力で霧島を持ち上げ土俵の外へ送り出した。13日目の対戦では照ノ富士が琴ノ若を圧倒していたが、決定戦で再び横綱が強さを見せた形だ。花道を引き揚げる際には笑みを浮かべた。
優勝インタビューでは「素直にうれしく思います。(賜杯の感触は)優勝する度久しぶりなんで慣れてきました」とジョークも飛び出した横綱。「心だけ折れないように日々頑張ってきた」と前を向き続けた。
腰の負傷を乗り越え、3場所ぶりの出場となった横綱。序盤は不安定な取組もあった中、翔猿と大した6日目には張り手が目に入ったことで激高し、強烈なのど輪、ダメ押しなどを繰り出し、土俵の上からにらみつけるなど気迫あふれる姿を見せた。
直後に「良くないですよね」と反省したが、燃え上がった闘争心は千秋楽まで衰えることはなかった。14日目は大関豊昇龍が休場したため自身初の不戦勝も経験。「不戦敗はいっぱいしてるから」と余裕を見せていた。
古傷の膝など満身創痍の状態を乗り越えての復活優勝。横綱の表情からは安堵の色がにじんだ。