大関昇進 琴ノ若が持つ貴景勝とは「また違う」覚悟 埼玉栄相撲部恩師・山田監督が中学時代振り返る

 「大相撲初場所・千秋楽」(28日、両国国技館)

 関脇琴ノ若(26)=佐渡ケ嶽=が本割で翔猿を上手投げで退け、大関昇進の目安とされる三役で直近3場所の合計33勝に到達。番付編成を担う審判部は昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請し、受諾された。これまで理事会で昇進が見送られた例はない。偉大な関取の子として、祖父から代々継いできた部屋の跡取りとして-。琴ノ若には、その重圧にも負けない覚悟が備わっていた。中高一貫で中学時代から指導していた、埼玉栄高相撲部の恩師・山田道紀監督(58)が振り返る。

  ◇  ◇

 「自分が跡継ぎだっていうことは、すごく自覚していた。覚悟というか、そういう子だった。大関(埼玉栄出身の貴景勝)とかも覚悟は持っているけど、また違う」

 恵まれた体格は親譲り。ただ、決して生まれながらのエリートというわけではなかった。入部直後の鎌谷少年について、恩師は「(成長の)タイプ的には奥手だった。体はぽちゃぽちゃ」とひ弱な印象を受けた。

 転機は高校2年の全国高校相撲の十和田大会。団体戦で敗れると、山田監督は会場のサブ土俵で“山稽古”を取らせた。それも大会の観衆の人目もある中で-。

 「鼻水たらして、みじめな思いをしながらどろどろになって。それから変わったね」

 同級生で現幕下の日翔志と2人で閉会式まで、砂をかんでも約100番、みっちりスパルタ稽古を敢行。当時感じた悔しさを糧に成長し、主将となった3年時には部を全国高校総体団体戦優勝に導いた。

 新大関はまさに大器晩成。ぶつかってきた壁も努力で乗り越えてきた。いつかは祖父と並べるように綱を張れる関取へ。先代と交わした『琴桜』襲名時期は未定だが、“雑草魂”を持った桜が角界に満開の花を咲かせる。

 ◆琴ノ若傑太(ことのわか・まさひろ)アラカルト

 ★本名 鎌谷将且(かまたに・まさかつ)

 ★生年月日 1997年11月19日

 ★出身地 千葉県松戸市

 ★スポーツ歴 水泳

 ★相撲歴 2歳から始め、小学校時は柏相撲少年団に通う。埼玉栄中、高に進み、高3時に高校総体団体戦優勝、世界ジュニア選手権団体優勝、同個人戦重量級優勝

 ★プロ入り後 2015年九州場所で初土俵を踏み、19年名古屋場所で新十両。20年春場所で新入幕。23年初場所で新三役。三賞は敢闘賞5回、技能賞1回

 ★しこ名の由来 関取昇進時に、師匠で父のしこ名を継承。下の名は、祖父の傑将から1文字もらう

 ★好きな食べ物 何でも。苦手もなし

 ★好きなテレビ番組 朝ドラ

 ★ニックネーム マサカツ

 ★家族 両親

 ★サイズ 189センチ、177キロ

 ★得意 右四つ、寄り、押し

 ★血液型 AB型

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