ドーピング違反のワリエワに4年間の資格停止処分 CASが裁定発表 成績は抹消 北京五輪団体戦判断は明示せずも日本の銀繰り上がり濃厚

 スポーツ仲裁裁判所(CAS)は29日、世界反ドーピング機関(WADA)から提訴されていた22年北京五輪期間中にドーピング陽性が発覚したフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(17)=ロシア=について、4年間の資格停止処分を認める裁定を下した。21年12月25日以降に出場した大会の成績は抹消となる。CASはワリエワ側が「意図せずに摂取したということを立証できなかった」とし、「保護対象選手を成人アスリートと異なる扱いをする根拠はない」と断じた。

 この裁定により、最終的には国際オリンピック委員会(IOC)と国際スケート連盟(ISU)の判断とされ、明示されなかったが、授与が保留されていた22年北京五輪団体戦でのロシア五輪委員会(ROC)の金メダルは剥奪となり、2位だった米国が金メダル、3位だった日本が銀メダル、4位だったカナダが銅メダルに繰り上がることが濃厚となった。

 ワリエワは22年2月の北京五輪期間中に21年12月25日に採取された検体から禁止薬物の「トリメタジジン」が検出されたことが判明し、大きな騒動となった。当時15才だった同選手は問題判明前に団体戦で女子SP、フリーに出場し、金メダルに貢献。直後に発覚したため、表彰式が中止となった。その後、一時的な出場停止処分が下されたが、スポーツ仲裁裁判所が16歳未満の「保護対象者」であることから個人戦出場が認められ、大会後半の女子シングルに出場。金メダル最有力候補とみられていたが、フリーでミスが出て、4位に終わった。

 その後、同問題についてロシア反ドーピング機関(RUSADA)はドーピング違反を認める一方で過失なしと判断し、21年ロシア選手権の結果のみを失格としたが、WADAと国際スケート連盟(ISU)がこれを不服としてCASに提訴。4年間の資格停止処分と、21年12月25日以降の全成績の取り消しを求めていた。

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