日本スケート連盟「一日も早いメダル授与を望みたい」 ワリエワ処分決定を受け声明発表「決定を尊重」 日本は団体銀繰り上げ見通し
日本スケート連盟は30日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が世界反ドーピング機関(WADA)から提訴されていた22年北京五輪期間中にドーピング陽性が発覚したフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(17)=ロシア=について、21年12月25日からの4年間の資格停止処分を認める裁定を下したことを受けて、コメントを発表した。
長島昭久会長名で「裁定まで長かったというのが率直な感想ですが、当連盟としてこの決定を尊重し真摯に受け止めたいと思います。今後はこれを受けての国際オリンピック委員会(IOC)および国際スケート連盟(ISU)の判断を注視したいと思います。いずれにせよ、あらためて北京冬季オリンピックにおいて全力で戦い抜いた選手たちの栄誉を称えるとともに、一日も早いメダル授与を望みたいと思います」と、声明を出した。
同処分を受けて、北京五輪団体戦で1位だったロシアは失格となることが濃厚で、3位だった日本は銀メダルに繰り上がる見通し。
裁定は最終的かつ拘束力のあるものとし、ワリエワ側は限定された理由に基づいてでのみ30日以内にスイス連邦裁判所に上訴する権利がある。
同問題を巡ってはロシア反ドーピング機関(RUSADA)がドーピング違反を認める一方で過失なしと判断し、21年ロシア選手権の結果のみを失格としたが、WADAと国際スケート連盟(ISU)がこれを不服としてCASに提訴。4年間の資格停止処分と、21年12月25日以降の全成績の取り消しを求めていた。
北京五輪当時15才だった同選手は問題判明前に団体戦ではロシア五輪委員会(ROC)の一員として女子SP、フリーに出場し、金メダルに貢献。直後に発覚したため、表彰式が中止となった。その後、一時的な出場停止処分が下されたが、スポーツ仲裁裁判所が16歳未満の「保護対象者」であることから個人戦出場が認められ、大会後半の女子シングルに出場。金メダル最有力候補とみられていたが、フリーでミスが出て、4位に終わった。
成績の扱いは関連スポーツ団体(IOC、ISU)が最終判断することになるが、通例ではドーピングによる失格は繰り上がりとなり、北京五輪団体戦は2位だった米国が金メダル、3位だった日本が銀メダル、4位だったカナダが銅メダルに繰り上がることが濃厚。同五輪シングルも女子で5位だった樋口新葉が4位、23位だった河辺愛菜が22位に繰り上がることになる。