ワリエワ処分、金剥奪 ロシアが不服申し立ての意向 露連盟が公式サイトで声明「断固として同意しない」 ISU決定にはカナダも異議
ロシア・フィギュアスケート連盟は30日、公式サイトで声明を発表。スポーツ仲裁裁判所(CAS)がフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(17)=ロシア=の4年間の資格停止と、同期間の成績抹消処分を下し、国際スケート連盟(SIU)が22年北京五輪団体戦について、2位だった米国を金メダル、3位だった日本を銀メダルに繰り上げ、ロシア五輪委員会(ROC)を銅メダルに繰り下げた判断について、「断固として同意しない」と、拒否する意向を示した。
「ワリエワは(当時15歳の)保護対象であるにも関わらず、成人アスリートと同等とみなされた」とし、「我々は法廷を含め、チームと各選手の権利と正当な利益を個別に保護するために必要なあらゆる措置を講じており、今後も講じることを宣言します。スケーターの利益は、これまでも、そしてこれからも連盟の最優先事項です」と、強調。「我々は当然のことながら22年北京五輪のフィギュアスケート団体戦の勝者であり、選手たちは五輪王者である。すべてのチームメンバーに全面的な支持を表明する」と、結んだ。ロシア五輪委員会や露政府も異議を申し立てる意向を示している。
CASの裁定は最終的かつ拘束力のあるものとされているが、限定された理由に基づいてのみ30日以内にスイス連邦裁判所に上訴する権利がある。
また、ISUの決定を巡っては、4位のままに終わったカナダも異議を示しており、30日に抗議声明を発表。「ISUの立場に非常に失望している。スケートカナダはこれに同意せず、異議を申し立てるあらゆる選択肢を検討する」と、不服申し立てを行う可能性を示唆している。
順位点で争われる団体戦で、ワリエワは女子SP、フリーとも1位で各10点を獲得していたが、失格で0点に。ただ、ペアとアイスダンス、男子シングルの順位点で総合得点54点とされ、米国(65点)、日本(63点)に次ぐ3位に踏みとどまり、4位だったカナダは53点で銅メダルに1点及ばなかった。
ただ、ISUの規定では失格者が出た場合、「失格した競技者よりも順位が下位だった選手はそれに応じて順位が上がる」とされているが、女子SPとフリーの順位点は繰り上がっておらず、カナダ側はSPとフリーでそれぞれプラス1点され、ROCとの順位が入れ替わると主張している。