元横綱朝青龍「育ててくれて感謝」 先代高砂親方お別れの会に参列 複雑な感情は封印「握手して別れたかった」

 先代高砂親方お別れの会に参列する元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(撮影・持木克友)
 先代高砂親方の遺影の前で写真に納まる(左から)朝乃山、先代高砂親方夫人の恵さん、高砂親方、朝紅龍
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 大相撲の元大関朝潮で、昨年11月に死去した先代高砂親方=本名・長岡末弘さん=のお別れの会が5日、都内のホテルで開かれた。日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)、幕内朝乃山をはじめ、角界以外からも著名人など約350人が出席。先代師匠とは疎遠になっていた元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(43)も足を運び、最後の別れをしのんだ。

 あの破天荒な元横綱朝青龍が、最後に弟子として師匠への義理を果たした。現役時代は度重なる不祥事で、相撲界を離れてからは、今日まで先代高砂親方との関係は決して良好ではなかった。それでもダグワドルジ氏は身なりを整えて出席した。「好きか嫌いかは別として、最後の別れなので。人として、やることをやらないといけない」と複雑な感情を封印して霊前に手を合わせた。

 心残りがあった。角界を度々騒がせ、暴力問題の責任を取る形で、25回目の幕内優勝を決めた2010年初場所の直後に引退。その後は師匠とも疎遠になってしまった。「もう1回、会いたかったね。握手して別れたかった」。旧正月を迎える母国のモンゴルに帰国する前に、フライト時間が迫る中で会場に足を運んだ。

 ただ、その強さは誇りだった。「自分の地位を超えた弟子を育てたい」という師匠の夢を間違いなくかなえた。入門から横綱昇進まで鍛えられ、05年には前人未到の年間6場所全制覇を達成するなど一時代を形成。「『朝青龍を育ててくれて感謝しています』ってことを最後に言ってあげたい」と天国の師匠に言葉を送った。

 “大ちゃん”の愛称で親しまれ、大関として昭和の土俵を彩り、師匠としては朝青龍以外にも元大関朝乃山を輩出するなど、名伯楽としても名をはせた長岡さん。同じ高砂一門で稽古に励み、取組でも激闘を繰り広げた八角理事長は弔辞を読み「早いね。横綱、大関を出して本当に立派な人だった」としのび、最後の別れに多数の著名人、ファンが献花台に花を供えた。

 ◆主な参列者 八角理事長(元横綱北勝海)、芝田山親方(元横綱大乃国)、陸奥親方(元大関霧島)、九重親方(元大関千代大海)、高田川親方(元関脇安芸乃島)、玉ノ井親方(元大関栃東)、渡辺大五郎(元関脇高見山)、赤井英和(タレント・元プロボクサー)、石毛宏典(元プロ野球選手)、鈴木宗男(参議院議員)=敬称略

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