柔道 ウルフ・アロン、パリ五輪代表に大トリ内定 異論なく、わずか5分で満場一致 鈴木桂治監督はゲキ「完全復活と考えない方がいい」
全日本柔道連盟(全柔連)は14日、強化委員会をオンラインで開き、男子100キロ級のパリ五輪代表としてウルフ・アロン(27)=パーク24=の内定を決めた。低迷していた同階級は全14階級で唯一代表が決まってなかったが、今月のグランドスラム(GS)・パリ大会でウルフが優勝しており、異論はなく、わずか5分で会議が終了。日本男子の鈴木桂治監督(43)は都内で会見し「(ウルフは)連覇に挑戦できる立場になった。目標を高く持って戦いに向かってほしい」と期待を込めた。
唯一の越年選考となっていた同階級はウルフと19歳の新井道大(東海大)の2人に絞られていたが、GSパリで明確な差がついたとの判断でようやく決着した。鈴木監督は「(もっと)長引くのかなという考えも正直あった」と、今回決まらなかった場合、3月のGSタシケント、さらに4月の全日本選抜体重別選手権(福岡)まで持ち越しとなることも視野に入れていたと告白。ただ、ウルフが国際舞台では東京五輪以来2年半ぶりの復活優勝を果たしたことで一気に形勢が固まり、「内容も相手を投げて、ゴールデンスコア(延長戦)にならず本戦の中で勝負する形を見せてくれた。新しい戦い方をしているなという印象だった」とうなずいた。
ウルフは21年夏の東京五輪後、休養も経て翌年復帰したが、精彩を欠いていた。最速では昨年6月次点でパリ五輪代表が決まる階級もある中、日本勢全体が低迷していた同階級は唯一越年で選考が続けられていたが、本番5カ月前にようやく決着。鈴木監督は「(もっと)長引いてしまうと、選考大会への派遣が分散してしまい、選手へのメリットはないと感じていた。5カ月前(の代表内定)が早いか遅いかは別にして、しっかりと五輪に向けた強化対策ができる。この時期の内定はプラスに変えていきたい」と前向きに捉えた。
一方で、五輪本番での2連覇に向けては依然厳しい立ち位置にいるとあって、「この1大会、GSパリの優勝だけを見て『ウルフ完全復活』、『新生ウルフ・アロン』という考えにはならない方がいい」と鈴木監督。強化トップとしてくぎを刺しつつ、「これをきっかけにいい状態になってくれると期待している。私もそうだし、本人も(今回の優勝で)満足していることはないと思う」とゲキを飛ばした。