ウルフ・アロン 大トリでパリ五輪切符!GSパリ大会復活Vで満場一致 柔道男女14階級出そろう

 全日本柔道連盟(全柔連)は14日、オンラインで強化委員会を開き、パリ五輪男子100キロ級代表として2021年東京五輪金メダリストのウルフ・アロン(27)=パーク24=の内定を決めた。低迷していた同階級は男女全14階級で唯一代表が決まっていなかったものの、今月のグランドスラム(GS)パリ大会でウルフが優勝しており、2大会連続の代表に正式決定。これで五輪代表14人が出そろった。

 低迷から復活した金メダリストが“大トリ”でパリ切符をつかみ取った。同階級は唯一代表が決まっていなかったが、GSパリ大会で値千金の復活優勝を果たしたウルフに文句のつけようはなかった。

 選考を審議する強化委員からは異論はおろか意見すら出ることなく、わずか5分で満場一致。都内で会見した日本男子の鈴木桂治監督(43)は「(これでウルフは)連覇に挑戦できる立場になった。目標を高く持って戦いに向かってほしい」とうなずいた。

 最速では昨年6月に代表が決まる階級もある中、五輪本番5カ月前にようやくスタートラインに立った。ウルフは21年夏の東京五輪優勝以降、得意のトーク力を発揮して精力的にテレビ出演するなど、柔道の周知活動にも貢献。一方で、翌年に競技復帰して以降は減量や試合勘に苦しんだ。

 国際大会で初戦敗退を繰り返すなど精彩を欠いたが、崖っぷちで臨んだGSパリで、国際舞台では2年半ぶりの優勝。帰国時には「(ここまで)長かった」とかみしめた。

 鈴木監督は4月まで代表が決まらないことも視野に入れていたと明かしたが、土壇場でよみがえった五輪王者に「内容も相手を投げて、ゴールデンスコア(延長)にならず、本戦の中で勝負する形を見せてくれた。新しい戦い方をしている」とうなずいた。一方で、花形の男子100キロ級で初となる五輪2連覇に向けては依然、厳しい戦いが待ち受ける。「この優勝だけを見てウルフ完全復活、新生ウルフ(誕生)という考えにはならない方がいい」と気を引き締めつつ「これをきっかけに、さらに新しいウルフ・アロンの柔道に磨きをかけてほしい。満足はしていないです」と鈴木流でゲキを飛ばした。

 ◆柔道日本代表の早期内定制度 全柔連は本番直前までの準備期間確保のため、五輪では前回東京大会から導入。国内外の実績などを総合的に勘案し、2番手以下と明らかな差がついたと判断された選手は強化委員会の審議で代表に内定。延期前の東京大会で約8カ月前だった最初の内定者決定の時期は、パリ大会では約1年1カ月前に早まった。

 ◆ウルフ・アロン 1996年2月25日、東京都葛飾区出身。米国人の父と日本人の母を持ち、6歳の時に春日柔道クラブで柔道を始めた。東海大浦安高時代は2年時に団体で高校3冠を達成し、3年時は個人でインターハイ優勝。17年世界選手権で優勝、18年全日本選手権を制覇、21年夏の東京五輪で金メダルを獲得したことで、史上8人目となる「柔道3冠」を達成した。左組み手で、得意技は大内刈り、内股。181センチ。

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