羽生結弦さん一問一答 初の単独ツアー完走に「達成感はありますね」「まだまだ構成上げられる」
フィギュアスケート男子で五輪2連覇を果たし、22年7月にプロ転向した羽生結弦さん(29)の初の単独ツアー公演となる「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd “RE_PRAY”TOUR」の千秋楽公演が19日、ぴあアリーナMMで行われた。公演ではゲームの世界観を表現し、ゲーム音楽の「破滅への使者」では4回転サルコーを着氷して魅了した。Adoの「阿修羅ちゃん」ではキレキレに舞い、「春よ、来い」や「SEIMEI」など人気ナンバーも華やかに演じた。
以下は公演後の羽生さんの一問一答。
-横浜での2日間を終えてみていかがですか。
「いや本当、これまでツアーということで、回を重ねるごとにいろんな課題が見つかったり、達成できたものが見つかったり、本当に毎回毎回、進化すべきところが見つかっていくので、何かある意味で、前半は特にですけど、競技者として戦っていくような、過去の自分をどうやって乗り越えていくのか強くなっていくのかっていうことを常に考えながら、本当にストイックに自分を追い込みながら練習をしてこれた、横浜公演だったなって思ってます」
-3公演走り切ってみて、心にあるのは充実感なんでしょうか。
「まあ達成感はありますね。やっぱり本当に今までの自分と比較しても一番練習してきたんじゃないかなってちゃんと思えてますし、食事面だったり、睡眠面だったり、いろんなことにずっと気を使いながら過ごし続けた日々だったので。それがある意味報われた1日でもありましたし。何より、見てくださる方々が本当にうれしそうな顔をしてくださってたんで、本当頑張ってよかったなって思ってます」
-ファンは新しいアイスストーリーを期待してる方も多いかなと思うんですけども、その辺で何か羽生さんの中で構想みたいな、終わったばっかりですけどいかがですか。
「いやもう本当、GIFTとの時も思いましたけど、もうすっからかんなんで今、もうとにかく出し尽くせたなって思えるぐらい、今日もここに魂を込めて滑りを置いてきたと思いますし、何よりこうやってアイスストーリーとか、アイスショーとか、そういったことをさせてくださるのは、やっぱりこうやって取材に来てくださる皆さまだったり見てくださる皆さまだったり、それを読んだり、聞いたりしてくれる皆さまがいるからこそだと思ってるので、そういう方々に本当に感謝の気持ちを持ちながら、これからも自分なりに一生懸命頑張っていきたいなって思っています」
-破滅への使者のテーマについて、一言では言えないと思いますがなるべく簡潔にお願いします。
「ははは(笑)。簡潔に言えば、日々が毎日続いていく。その中にはすごく刺激的な日々があれば、何もない、本当にどんよりとした暗闇、暗闇っていうか、曇りの続いたような日があったり、そういう中でも、生きていこうって、皆さん生きてくださいって、そんなメッセージを僕はこの中に込めてるつもりです。その中で最終的に命っていうのは巡っていくし、でも、巡っていくけれども、たった一つの今のこの人生をちゃんと生きてほしいって、そんなに祈りを込めてこのストーリーを作りました。簡潔でした?大丈夫ですか?(笑)」
-ツアー完走を踏まえて、プロとして新たな可能性が見えてきたことなどはありますか。
「いやーアイスストーリー改めてめちゃくちゃきついなっていうのを感じています。元々GIFTに関しては、1回公演だったっていうこともありますし、前半の中での最後の演目が試合のプログラムでしたけど、ショートプログラムだったんでまだ何とかやれてたのかなと。今回は構想上、フリーとほぼ同じ状況に挑みたいっていうのを思って作っていったんですけど、本当に大変でした。ただ、こうやってツアーという形で、何回も何回も挑戦をさせていただくことによって、やっと、こういうふうにトレーニングしたら、結果が出せるとか、手応えみたいなものをまた改めて感じてきたので、毎回毎回レベルアップできるように、それこそ自分のストーリーの中でもありますけど、経験を積んで、またより一層いい、技術的にも高い自分を見せていけるように、何か頑張れるんじゃないかなっていう希望を持てました」
-3公演やったことで進化させられたものはありますか。
「また何かトレーニング方法だったりとか、そうですね、練習法みたいなものがまた改めて確立されてきたのかなっていう感じがしてますね」
-表現の進化は。
「それはもう滑り込みあるのみっていうことと、あとは作曲者の思いであったりとか、自分がストーリーに込めたい気持ちだったりとか、またその演出、照明を作ってくださってる方々の、見せたい思いとか気持ちとかそういったものは何だろうっていうことをすごく考えながら、またその回数を重ねるごとに何か感じながら、滑れたのが大きかったのかなとは思います」
-この1カ月、どうしてもそこまで追い込めたんでしょうか。1日6時間の筋トレとおっしゃっていたましたが。
「例えばなんですけど、朝起きて、1時間ストレッチとトレーニングして、練習行って、3時間トレーニングとスケートして、帰ってきて、1時間半トレーニングして、寝る前に1時間イメトレしてみたいな日々をずっと繰り返してたんで(笑)。かなり試合やってるときよりも練習したり、イメトレをしたりしてきました。でも、なんかそれは本当にいいものを見せたいって思ったのと同時に、自分の実力が自分が見せたいものよりも圧倒的に劣ってるっていうことを何か改めて感じたので、本当、まだまだ進化し続けたいなって思ってます」
-『破滅への使者』ノーミスでしたが。
「なんか、試合みたいな感じになっちゃうんすけど、やっと練習報われたなって思いました(笑)。本当に毎日、3回通して3回ともノーミスしてみたいなことを毎日やってるんですけど、やっぱり前半全てを通しきりながら、毎回映像の部分はひたすら着替えて、靴を履いてみたいなことをずっと繰り返して、握力とかもなくなっていく中で、やっぱ滑るのとは全く違ってて、でもこういった中で、ノーミスできたことはまた、改めて自分がやってきたことが正しかったんだって思える瞬間でもありました」
-物語に出てくる水の役割は。
「なんか水って、命の根源みたいなイメージがあって、生命が誕生するときに水の中から生まれてくるっていうイメージが自分の中では強くあって。水があるからこそ、植物ができたり、自分たち哺乳類ができたり、そういった何か進化の過程の中の根源っていうもので、命の象徴として水みたいなものを使っていました」
-木の枝は道を表現しているんですか?
「命が、例えば、人生みたいなものが、木のめから始まってきたとしたら、それがだんだんわかれていって、いろんな方向に進んでいく。でも根源を探してみたら、みんな一つの生まれたての本当に何もない自分でしかなくて、そこからいろんな道にわかれていっていろんなことをやっていって。そこで枝が折れちゃったりするけれども、だけれども、そこから歩いていけば、何とかなんじゃないかな、みたいなことを何かMIKIKO先生といろんなイメージを共有しながら作っていったつもりです」
-最後さみしいと言っていたが。
「うーん、なんですかね。なんか自分の中で、割と今日完結できたなっていうぐらいの達成感があったんで、何かある意味、皆さんにとっては、イメージがしづらいかもしれないですけどある意味自分の中でオリンピックとったなぐらいの勢いでめちゃくちゃ練習してくれたことが達成できたので、なんか、達成できたからこそうれしいし、うれしさとともに寂しさが一緒に積もってきたっていう。達成してしまったみたいな感覚で、寂しいなってちょっと思いました。でも、まだまだこれから構成を上げられると思いますし、もっと強くなれると思うんで、もっと練習しますって感じです」
-佐賀公演について。
「佐賀があまりにも自分の中で悔しくて、スケカナで惨敗したみたいな(笑)。わかります?みなさん。恒例のグランプリ1戦目での。一生懸命頑張りました。またよろしくお願いします、本当にありがとうございました」