JOCに20億円の追徴課税「東京五輪とは全く関係ない」意図的な不正否定も既に修正、全額納付 国税局に不満も「見解に相違、全くの遺憾」
日本オリンピック委員会(JOC)は6日、都内で会見を開き、東京国税局の税務調査で2018~22年度の会計処理に関して不備を指摘され、約20億円の追徴課税を受けたことを公表した。18億円超の申告漏れと、追徴課税分の1億数千万円を合わせたもので、既に修正申告し全額納付したという。JOCによれば、収益事業の認識時期の相違や、計上した経費について認められない項目があったというものの、意図的な経理操作や申告漏れはないと強調。また、東京2020大会との関連性について、北野貴裕常務理事は「東京五輪とは全く関係ない事業です」と否定した。
北野常務理事は「国税局の見解と本会の見解には相違があり、本会としては遺憾であるものの、国税局の見解に従って既に修正申告を行い、本税については納付を済ませております。なお、東京国税局は、意図的な経理操作ではないとの判断をしており、悪質な申告漏れ等に課される重加算税の対象とはなっておりません」と見解を示した。
JOCは、法人税算出を税理士法人に業務委託していることに加え、監事や外部の法人による監査も受けており、税務処理は適正だったと主張する一方、不服申し立てが認められる可能性は低いと判断し、修正申告に応じたという。
マーケティング収益については、スポンサーとの契約もあることから詳細は伏せたものの、将来的に計上するはずだったものを前年度に計上すべきと指摘された部分があった。伊藤事務局長は「将来的に計上していきたいと考えていたものを、もうちょっと早く計上しろというのが先方(国税局)の見解。どんなに主張しても聞き入れられなかった」と説明。さらに、国内競技統括団体への支援事業について、スポーツ界全体の振興が収益につながるとのJOCの見解が認められなかったといい、「(JOCが)収益事業会計の費用としていたものが、収益に直接は紐付かないというのが先方の見解(で課税対象になった)。(主張を)聞き入れてもらえず、非常に残念」と、国税局への不満をにじませた。
約20億円という大きな額となったが、今夏のパリ五輪、26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪等への選手強化への影響を受けることがないようにすると強調。北野常務理事は「JOCは内部留保するような会計方式ではなく、収益は全て強化やスポーツ普及・振興に充てている。今回の国税局の指摘は全く遺憾ですし、納税は義務なのでやむを得ないが、このお金があれば(本来)スポーツ全体に配分するのは当たり前のこと」と述べた。