渡辺一平 200m平泳ぎでパリ切符「8年ぶりの代表権。純粋にうれしい」
「競泳・パリ五輪代表選考会」(21日、東京アクアティクスセンター)
男子200メートル平泳ぎは元世界記録保持者の渡辺一平(27)=トヨタ自動車=が2分6秒94で1位となり、2位の花車優(イトマン東京)とともに派遣標準記録を突破して代表に決まった。同200メートルバタフライは寺門弦輝(セントラルスポーツ)が1分54秒07で1位となり、2位で世界選手権王者の本多灯(イトマン東京)とともに代表に決まった。瀬戸大也(CHARIS)は3位でこの種目での代表入りを逃した。100メートル自由形の女子は池江璃花子(横浜ゴム)が1位となったが派遣標準記録には届かなかった。
電光掲示板をじっと見つめ、3年前に届かなかった五輪切符をかみしめた。渡辺はスタートからレースをけん引。150メートルまで隣のレーンで泳ぐ花車に競られたが、冷静にテンポを刻んで勝ち切った。日本新記録に届かず「もっと出せると思った」と悔やんだが、すぐに表情を緩ませ「8年ぶりの代表権。うれしい。純粋にうれしい」と、2度繰り返して実感を込めた。
2017年に当時の世界新記録をマークして、脚光を浴びた。しかし、金候補として期待された東京五輪は選考会で振るわず、代表にすら入れなかった。「これまでで1番大きな挫折」。プールから数週間の足が遠のいたが、もう一度世界を目指す覚悟を固めて再起した。
200メートル平泳ぎは世界で功績を残してきた日本の得意種目。ただ、五輪のメダルは立石諒さんが獲得した2012年ロンドン五輪から遠ざかっている。お家芸復活へ。渡辺は「さらにさらに強くなって、また世界一を目指せるように」とパリの舞台を見据えた。
◆渡辺一平(わたなべ・いっぺい)1997年3月18日、大分県津久見市出身。佐伯鶴城高から早大に進学し、2016年年リオデジャネイロ五輪の男子200メートル平泳ぎは6位だった。17年1月の東京都選手権で、当時の世界記録2分6秒67を樹立した。世界選手権は17年、19年の両大会で3位。193センチ、89キロ。