豊昇龍 尊富士止めた 初対戦で大関の意地「同級生には負けたくなかった」 逆転2度目Vへ2差死守
「大相撲春場所・12日目」(21日、エディオンアリーナ大阪)
大関豊昇龍が、全勝だった新入幕の尊富士を小手投げで下し、3敗を守った。勢いに乗る同学年の新鋭を止め、看板力士の意地を見せた。大関琴ノ若は平幕大の里を小手投げで退けて3敗をキープ。大の里は3敗目を喫した。優勝争いは1敗の尊富士が単独トップ。2敗が消え、3敗の豊昇龍、琴ノ若、大の里、豪ノ山が追う。13日目に豊昇龍と豪ノ山の3敗対決が組まれ、優勝決定は14日目以降となった。
風呂から出た豊昇龍の顔はほころんでいた。待ち望んだ尊富士との初対戦で貫禄を示す白星。「絶対にここで星を落としちゃいけない。同級生には負けたくなかった」。素直な思いを吐き出すと、大関の意地を問われ「ですよね。そこで負けたらダメなんで」とプライドをにじませた。
立ち合い右で張ると、狙った右上手は取れずに寄られたが、差した相手の左を瞬時に抱え込んで逆転の右小手投げ。上位陣ものみ込んでいた速攻を、足腰の良さと反応でねじ伏せた。
高校時代、対戦のチャンスは2度あった。国体では尊富士のケガで不戦勝。インターハイでは、尊富士に勝った狼雅との対戦になった。当時から「やってみたかった」という存在。今場所の快進撃は「いずれ上がってくるなと思っていた。思った通り上がってきた」と手ぐすねを引いて待っていた展開だった。
初優勝した昨年名古屋場所では、千秋楽で新入幕Vを狙った伯桜鵬に快勝。初場所でも新入幕の大の里を投げ飛ばした。3人目の尊富士も壁となり「なんかオレ、新入幕とやるのが多いね」と苦笑い。初顔相手に34連勝した叔父の元横綱朝青龍ばりに「初顔には負けたくない」と、闘志をしっかりと結果につなげた。
3敗死守で優勝争いに踏みとどまった。同級生相手の快勝に「まだまだ何度も対戦があると思うし、頑張りたい」と機嫌を良くした豊昇龍。大逆転の2度目Vをまだまだ諦めていない。