110年ぶり偉業へ尊富士 新入幕V王手 照ノ富士の助言胸に1敗守った 朝乃山撃破で決める

 「大相撲春場所・13日目」(22日、エディオンアリーナ大阪)

 単独トップの尊富士が関脇若元春を寄り切って1敗を守り、1914年夏場所の両国以来、110年ぶりの新入幕優勝に王手をかけた。14日目の朝乃山戦に勝つか、負けても2差で追う3敗の大関豊昇龍、平幕大の里がともに敗れれば、歴史的な優勝が決まる。大関貴景勝は琴ノ若を破って勝ち越しを決め、かど番を脱出した。

 大鵬に並ぶ新入幕力士の連勝記録は止まっても、尊富士が再びVロードへ歩みを進めた。「(負けを)忘れられるものでもないし、かといって次の日にかかわっても良くない。何も考えず自分を信じてできることをやろうと」。その意気込みで、110年ぶりの新入幕での賜杯に王手をかけた。

 気負いのない冷静な取り口だった。出足鋭く左を差して先手を取ると、相手十分の左四つになっても前に出た。土俵際で粘られるも「少しでも止まったら絶対勝てない。自分から、自分から攻める」と、すくい投げで体勢を崩して右を巻き替えもろ差し。止まらず一気に寄り切った。

 12日目の豊昇龍戦で痛恨の一敗。だが、前夜に部屋に帰ると今まで相撲に関しては口数が少なかった照ノ富士が助言をくれた。「立ち合いだけじゃ上位陣には通用しない。相手の体勢を崩して、そこから自分の相撲を取るように」。その言葉を胸に無我夢中で自分の力を出し切った。

 13日目を終えて2差の単独トップがV逸した例は、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降ではない。勝てば優勝が決まる14日目は元大関の朝乃山戦が組まれた。世紀を超えた大偉業まであと一歩。「体も全身つっている」と正直に笑う24歳。満身創痍(そうい)の最終盤でも、ここまで来たら最後の力を振り絞るだけだ。

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