尊富士110年ぶり新入幕V一夜明け「さっぱどしたじゃ」大銀杏Vに意欲も「あの景色は何回見てもいい」
大相撲春場所で110年ぶりとなる新入幕優勝を果たした幕内尊富士(24)=伊勢ケ浜=が千秋楽から一夜明けた25日、大阪市内で会見に臨んだ。故郷の津軽弁で「さっぱどしたじゃ(すっきりした)」と心境を語ると、右足首靱帯損傷から強行出場する決断を後押しした横綱照ノ富士の存在の大きさを改めて強調。現在のちょんまげから、今度は大銀杏(おおいちょう)姿での優勝に意欲を示し、照ノ富士と一緒に土俵入りすることを心待ちにした。
脱力した穏やかな表情が、達成感を物語った。地元・青森の津軽弁で喜びのコメントを問われた尊富士は「えっ!?」としばし考えた後「さっぱどしたじゃ」(すっきりした)。晴れやかな心境をお国なまりで表現した。
14日目の朝乃山戦で負傷した右足首の激痛を乗り越えての初優勝。前夜は照ノ富士に「オレの9回(の優勝)より、おまえの相撲の方がうれしかった」とうれしそうに何度も頭をなでられたといい「何より一番うれしかった。横綱に少しでも恩返しできたなって初めて思いました」と感慨をにじませた。
14日目の夜の状況も改めて明かした。当初は一人では歩けない状態。一度は出場を諦めた時、自室に照ノ富士が訪れ「おまえならやれる。記録はいいから記憶に残せ。このチャンスはもう戻ってこないよ」と背中を押されたという。その瞬間「少し歩けるようになった。急にスイッチが変わった。自分で自分が怖くなった」。尊敬する横綱の“魔法の言葉”で起きた舞台裏を振り返った。
ちょんまげ力士の優勝は初。夢だった照ノ富士との横綱土俵入りは、横綱から「一緒に次できたら」と指名された。こちらは大銀杏を結えるようになればかないそう。大銀杏姿での優勝にも「相撲をやってる以上は1回だけじゃなく、あの景色は何回見てもいい」と意欲をのぞかせた。
ケガもあり、31日に始まる春巡業への参加は微妙。それでも、連続優勝の期待がかかる夏場所(5月12日初日、両国国技館)については「ファンのみなさんに応えられるように精いっぱい、僕もまた強くなって土俵に上がります」と宣言した。年内の三役昇進も目標。「とにかく自分を信じてやることだけ」と、歴史的Vにもおごらず精進を続けていく。