ともに全5試合で一本勝ち!阿部きょうだいV2 一二三の漂う風格、五輪V2に隙はなし
「柔道・グランドスラム・アンタルヤ大会」(29日、アンタルヤ)
男女計5階級が行われ、男子66キロ級の阿部一二三、女子52キロ級の阿部詩(ともにパーク24)のきょうだいが全5試合一本勝ちで優勝した。そろって2連覇を狙うパリ五輪前最後の実戦で、強さを見せつけた。決勝は阿部一がヌラリ・エモマリ(タジキスタン)を49秒、阿部詩は東京五輪3位のチェルシー・ジャイルズ(英国)を10秒で退けた。女子48キロ級は角田夏実(SBC湘南美容クリニック)が、5試合全てで一本を奪って制した。
技の応酬から大内刈りで相手の背中をつかせ、男子66キロ級決勝を1分弱で制した。阿部一は当然とばかりに表情をほぼ変えず、畳を後にした。今年初戦にしてパリ五輪前最後の実戦は5試合全て3分以内で一本勝ち。海外勢には2018年7月を最後に負け知らずで、冷静に強敵を次々と仕留める姿には風格さえ漂う。五輪2連覇へ隙は見えない。
収穫に挙げたのはモロッコ選手との3回戦だ。得意の担ぎ技を警戒し、腰を引いて構える相手をどう攻略するか。そこで重点的に強化したのが足技だった。探り合いから一気に前進して小外刈りを決め「練習した成果が出た。あれは良かった」と自賛した。
日本男子の鈴木監督は足技が発展途上であることを指摘し「伸びしろは十分ある」とさらなる成長を求めた。妹との2大会連続の五輪同日優勝へ、期待は高まるばかり。26歳のスターは「ひたすら強さを求めている」と慢心することなく、己を磨いていく。