阿部詩GSから帰国 次はパリでV2だ 五輪前最終デモ悠々オール一本勝ち「経験できてよかった」
柔道女子52キロ級で今夏のパリ五輪代表の阿部詩(23)=パーク24=が1日、グランドスラム(GS)・アンタルヤ大会を終えてトルコから羽田空港に帰国した。五輪前最後の実戦として臨んだが、5試合オール一本勝ちという圧巻の内容で優勝。万全ではない中でも圧倒的な強さを発揮し「こういう状況でも勝ち切れて、いい弾みになった」と手応えを示した。同48キロ級代表の角田夏実(31)=SBC湘南美容クリニック=も、5戦全て一本勝ちで弾みをつけた。
五輪2連覇への確かな感触をつかんで、本番前の総仕上げを終えた。五輪が迫る中での重圧、不安、緊張-。阿部はあらゆるマイナス要素を真っ正面から受け止めつつ、目の前の相手を投げ飛ばした。跳ねて、担いで、寝技でも相手を寄せ付けず、秒殺も含めて完勝劇。万全ではなかったものの「(畳の上で)やるしかないという状況になれた。(五輪)本番でも、やるしかない状況になると思うが、そういう状況を経験できてよかった」と大きくうなずいた。
昨秋から腰の痛みに苦しみ、満足いく準備は積めない中でも「五輪でも100%じゃない時を想定し、どう勝ち切るか」とあえて出場に踏み切った。「(調子は)70%くらいで不安の方が大きかった」。毎試合後には腰の痛みを感じたというものの、畳に上がれば満点回答をたたき出した。
今大会は、神戸・夙川学院高時代の同級生だった金知秀(韓国)も女子63キロ級で制覇。ワールドツアーでそろって優勝するのは初めてで、「高校生の時から一緒に頑張ってきて、GSという舞台で活躍できる同級生はなかなかいない。また違う国で頑張っているので、すごくうれしかった」と活躍に刺激を受けた。
7月28日の決戦まで残り116日。「パリ五輪は(試合への)恐怖感がさらに強くなると思うので、この3カ月でもっと自分にプレッシャーをかけるしかない。どう勝つかを考えていく」。怪物的ヒロインの第二章は、いよいよ最終段階に入る。