異次元オール一本勝ちV競演の柔道・阿部兄妹“勝ち方”まで競争?一二三は「俺の方がすごかったやろ」詩は意に介さず
柔道女子52キロ級で今夏のパリ五輪代表の阿部詩(23)=パーク24=が1日、グランドスラム(GS)・アンタルヤ大会を終えてトルコから羽田空港に帰国した。五輪前最後の実戦として臨んだが、秒殺劇を含む5試合オール一本勝ちという圧巻の内容で優勝。腰痛の影響で万全の準備が積めない中でも圧倒的な強さを発揮し、「こういう状況でも勝ち切れて、いい弾みになった」と五輪2連覇への手応えを示した。
今大会は、男子66キロ級五輪代表の兄、阿部一二三(26)=パーク24=も出場し、足技、担ぎ技、両袖からの大外刈りなど衝撃的な一本勝ちを量産。5試合ともに相手を完璧に投げ切っての一本勝ちで優勝した。
詩は試合後、一二三から「今回は俺の方が技のキレがすごかったやろ?」と勝ち誇られたことを明かし、「すごかった」とうなずいたという。「兄はいつもそんな感じで(勝ち方まで)競ってます」と笑いつつ、「私は全然競っているというより『すごいな』と思いながら見ているので」と意に介さない様子だった。
ただ、普段はそれぞれの戦いに向けて各自で研さんを積んでいる。詩は昨秋から腰の痛みに悩まされ、今大会まで満足いく練習ができず「(調子は)70%くらいで、不安の方が大きかった」というものの、「五輪でも100%じゃない時を想定し、どう勝ち切るか」とテーマを設定して出場に踏み切っていた。
それでも畳に上がれば、担いで、跳ねて、寝技でも付けいる隙を与えず相手を圧倒。毎試合後には腰の痛みを感じたというものの、本番前最後のリハーサルで満点回答をたたき出し、「(畳の上で)やるしかないという状況になれた。(五輪)本番でも、やるしかない状況になると思うが、そういう状況を経験できてよかった」と強くうなずいた。