柔道五輪代表の角田夏実、新技“居反り”決めて感慨「やっと有言実行できた」ともえ投げ職人も一辺倒からの脱却に光明
柔道女子48キロ級でパリ五輪代表の角田夏実(31)=SBC湘南美容クリニック=が1日、グランドスラム(GS)・アンタルヤ大会(トルコ)を終えて羽田空港に帰国した。五輪前最後の実戦を想定して臨んだが、5試合全て一本勝ちで優勝。「色々試すことができて、得るものが多い試合になった」と手応えを口にした。
代名詞の「ともえ投げ」「腕ひしぎ十字固め」という2大必殺技を武器とする業師だが、立ち技ではともえ投げ一辺倒になることを積年の課題としていた。そして、今大会準決勝では、ともえ投げをフェイントにしながら、変型の肩車を決めて一本勝ち。「やっと有言実行できた」と感慨を込め、大会中に左膝を負傷していただけに「ケガのアクシデントがあって、逆に吹っ切れて掛けられたのかな」と声を弾ませた。
この変型肩車は、相撲の「居反り」のように相手の脇にもぐり込むようにして投げる技。東京五輪銀メダルのサイード・モラエイ(アゼルバイジャン)が得意とする形で、柔道界隈では「モラエイ」としても認知されている。
角田は19年GS大阪大会でフィゲロア(スペイン)にこの技を食らって負けたことがあり、「何この技?って感じで投げられて、投げられたときにたぶん(当時は)笑っていた。訳が分からなくて、気がついたら投げられていた」と述懐。以降、対策として自身も練習していたところ、実戦で勝利をつかむための自分の武器にまで昇華し、「まさか自分が(この技を)掛けるとは思わなかった。思い出に残る」と笑った。
日本女子の増地克之監督は「あれは見事ですね。ずっと取り組んできて実戦で初めてかかったが、あれをすることで海外勢もあの技を警戒する。より彼女のともえ投げも効いてくるのでは」と称賛。角田も、練習しているオーソドックスな形の肩車も含めて「(今後は)どう無意識に掛けられるか(が大事)」と手札の一つとして磨いていく算段を立てた。