阿部一二三 東京五輪以降は無敗のまま2連覇挑戦へ「パリで勝たないと意味ない」19年8月丸山戦以降は負けなしも「最後崩れたらダメ」
柔道男子66キロ級でパリ五輪代表の阿部一二三(26)=パーク24=が2日、グランドスラム・アンタルヤ大会を終えてトルコから羽田空港に帰国した。パリ五輪本番前最後の実戦として臨んだが、5試合全て相手を投げ切っての一本勝ちで優勝。「自分らしい柔道で、すごくいい勝ち方ができた」とうなずきつつも、「今回は今回なので、パリで一緒のパフォーマンスができるかはわからない。パリで勝たないとここまでやってきたことは全然意味がなくなるし、やっぱり五輪(での戦い)が全てだと思っているので、しっかり気を引き締めてやっていきたい」と力を込めた。
東京五輪で悲願を達成した金メダリストは、よりすごみを増して2連覇に挑む。今大会は初戦から代名詞の袖釣り込み腰を決めると、以降は足技、両袖からの大外刈りなど多彩な引き出しで次々と相手を畳に沈めた。周囲から見ればほぼ完璧な内容で夏への弾みをつけたものの、「今回はうまくいったが、パリ五輪ではどうなるかわからないと自分の中では思っている。この結果に満足はしてない」とキッパリ。「やっぱりパリ五輪で金メダルを取らないと(意味がない)というのがあるので。勝てたのはよかったが、うれしさや喜びはそんなにない」と率直な思いを述べた。
阿部が公式戦で最後に敗れたのは2019年8月の世界選手権決勝での丸山城志郎(ミキハウス)戦で、以降は負けなしを継続。五輪前最後の実戦となった今大会も優勝したことで、東京五輪以降の3年間無敗のまま、パリ五輪本番に臨むことになる。
ただ、目に見えてわかりやすい不安要素がないからこそ、何が起こるか分からない五輪本番への周到な準備が求められる。阿部自身は「(成績として)こんなにいいことはないが、やっぱりパリ(本番)で最後の最後で崩れたら絶対ダメなので。パリ五輪までは自分との戦いなので、ここからの4カ月は自分自身を追い込んでいきたい」と自身を戒めた。