「柔道・全日本女子選手権」(２１日、横浜武道館)

　体重無差別で争われ、決勝は瀬川麻優（２６）＝ＡＬＳＯＫ＝が、児玉ひかる（ＳＢＣ湘南美容クリニック）を相手の指導累積による反則で下し、初制覇した。昨年３月に結婚し、旧姓秋場から瀬川となったが、既婚者の優勝は大会初。今夏のパリ五輪代表の素根輝（パーク２４）、世界選手権（５月、アブダビ）代表の冨田若春（コマツ）、新井万央（日体大）らは出場しなかった。

　悲願の日本一に輝いた瀬川は、場内インタビューで最愛の夫・勇気さんに対する異例のメッセージを叫んだ。「優勝したよ。本当にありがとう。愛してるよ～！」。けがや体調不良で引退を考えたこともあったが、昨年３月に結婚した伴侶の存在が公私にわたって支えとなった。「本当に感謝でいっぱい。終わってからは（言ったセリフが）恥ずかしいが、（夫に）一番に支えてもらったので、あの言葉しかないかな」と照れ笑いした。

　札幌を拠点とし、二人三脚で大きなタイトルをつかみ取った。勇気さんは転勤の多い銀行勤めだったが、瀬川のために昨年６月に人材派遣会社に転職し、週末などに練習パートナーも務めている。「私生活も柔道も全部支えてもらった」

　今夏のパリ五輪代表を逃し、今月の全日本選抜体重別選手権（福岡）も敗退して自信を失ったものの「麻優ならいけるよ」と背中を押され、吹っ切れたという。今後、２８年ロサンゼルス五輪挑戦も視野に入れていることを明かし「今年で２７歳だが、まだまだチャンスはある」と“瀬川で五輪”へ決意を込めた。