歓声戻る今夏のパリを心待ち コロナ禍経て再び祭典へ
歓声が消えた祭典を経験したアスリートが今夏のパリ五輪・パラリンピックを心待ちにしている。新型コロナの影響で異例の無観客開催だった前回東京大会から、パリ大会は選手と観客の熱気に満ちたスポーツ本来の姿に戻る。新型コロナが5類に移行して8日で1年。さまざまな制約から解放された選手たちが、再び勝負の舞台に名乗りを上げている。
2021年7月25日。柔道で男子66キロ級の阿部一二三が決勝を制した瞬間、女子52キロ級の阿部詩との兄妹による同日金メダルが決まった。しかし、地元での快挙にふさわしい歓声と熱気はなく、東京・日本武道館に響いたのは関係者の声と拍手だけだった。
20年に行われるはずの東京五輪は新型コロナで史上初の1年延期。観客上限を巡る議論は曲折を経て、東京都など大半の会場が無観客となった。詩には「優勝しても静かで『これが五輪か』と思った」と、一抹の寂しさが残った。
2人は一層強さを増し、パリで目指すのは兄妹での五輪2連覇。フランスは世界屈指の柔道人気を誇り、盛り上がりが期待される。