バレー男子日本代表 五輪へ始動 新スローガン「ALL FOR PARIS」52年ぶりメダルだ 石川主将「全て懸けて」
1972年ミュンヘン五輪以来、52年ぶりのメダル獲得を狙うバレーボール男子日本代表が、パリ五輪へ向けて始動した。7日、都内の味の素ナショナルトレーニングセンターで会見し、フィリップ・ブラン監督と、主要国際大会に出場するA代表16人が出席。新スローガン「ALL FOR PARIS(全てはパリのために)」を発表し、主将の石川祐希(ミラノ)らが意気込みを語った。
多くの選手が「メダル」の3文字を口にした。それぞれが自チームのシーズンを終え、日本代表が本格始動。より質の高いチームを作るために、従来より早い段階でメンバーは32人から16人に絞られた。石川は「パリでメダルを取るために全てを懸けて臨む。取れるチーム、取るべきチームだと思っている」と覚悟をにじませた。
世界のトップが集まるイタリア1部リーグを戦った石川が挙げる五輪のカギは“メダルをかけた試合の経験値”。日本は昨年のネーションズリーグ(VNL)で銅メダルを獲得したが、現メンバーで国際大会の決勝に進んだことがない。アメリカ、ポーランドなどの強豪国に比べて“負けられない戦い”を勝ち切る経験値が浅く、この部分をいかに強化していくかが、重要になってくる。
そのための試金石になるのが、5月開幕のVNLだ。決勝大会は五輪本番約1カ月前まで行われるため体力的不安はあるが、それ以上に得られるものは大きい。石川も「国際大会決勝に進んだことがないのは、五輪のメダルを目指す上で欠けている部分。そこに到達できれば、五輪で勝てる確率は上がる」と語り、VNLが五輪の結果を占う大会になりそうだ。
五輪本番の最終メンバーは12人と、控え1人。イタリアから帰国したばかりの石川、高橋藍(モンツァ)は休養を優先して直近の海外遠征に帯同せず、VNL福岡大会(6月4~9日)から本格参戦する。
タレントぞろいの男子日本代表。高橋藍は「今は自分が引っ張る立場」とエースの自覚をのぞかせ、西田有志(パナソニック)はこの日の公開練習で豪快なスパイクで好調をアピールした。パリの舞台で52年ぶりに歴史の1ページを刻む。
◆パリ五輪のバレーボール男子 7月27日から8月10日まで行われる。12チームが参加し、開催国のフランスのほか、昨年9~10月に行われた五輪予選から日本、米国、ドイツ、ブラジル、ポーランド、カナダが決定。残り5枠は6月のネーションズリーグ1次リーグ終了時の6月24日時点の世界ランキングで決まる。21年東京五輪は金メダルがフランス、銀メダルがROC(ロシア・オリンピック委員会)、銅メダルがアルゼンチン、日本は7位だった。
◆ネーションズリーグ 男子のワールドリーグと、女子のワールドグランプリが統合された国際大会で、2018年に新設された。年に1度開催され、世界トップの男女各16チームが参加する。1次リーグは週4戦ずつ、3週間にわたって計12試合の試合を消化。ベスト8以上が決勝大会に進出し、トーナメント戦で優勝チームが決まる。今年の1次リーグは男子はブラジル、福岡、マニラで、女子はトルコ、マカオ、福岡で行う。決勝大会は男子がポーランドで、女子はタイで開催される。