大の里 横綱初撃破!母の日に最高のプレゼント 照ノ富士に“恩返し”「まさか初日に」歴史的波乱締めくくった
「大相撲夏場所・初日」(12日、両国国技館)
横綱、大関陣が全員敗れる大波乱の幕開けとなった。新小結大の里(23)=二所ノ関=は横綱照ノ富士(伊勢ケ浜)をすくい投げで撃破し、横綱戦初白星を挙げた。大関陣は、琴ノ若改め琴桜(佐渡ケ嶽)が平幕大栄翔(追手風)に押し出され、かど番の霧島(音羽山)は豪ノ山(武隈)に苦杯。貴景勝(常盤山)、豊昇龍(立浪)も黒星を喫した。横綱と4人以上の大関が全員出場しての総崩れは、2006年秋場所6日目以来18年ぶりで、初日では昭和以降初めて。
注目の新小結が、歴史的波乱の日を締めくくった。照ノ富士を腹ばいにさせた大の里は大きくうなずき、弾むような足取りで戻って勝ち名乗りを受けた。2度目の挑戦で横綱戦初勝利。館内の大歓声を一身に浴びた。
苦い経験を無駄にはしなかった。初挑戦の初場所では、勢いのまま走って上手投げを食らった。当たって前に出たのはこの日も同じ。そこからが違った。もろ差しになると、相手の強引な左小手投げを見透かしたように右ですくい、最後は上からひと押し。「(初場所)そのままじゃダメだと自分なりに考えた。あの時の反省を生かして相撲をとることができてよかった」。春巡業でも稽古をつけてくれた横綱への“恩返し”を、あくまで冷静に振り返った。
朝から落ち着いていた。横綱と戦う初日でも稽古場には下りず、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)も「自分の調整があるんじゃないですか。『まだ早ぇよ』って言っときました」と苦笑する大物ぶり。“オレ流”を貫き「チャンスは初日じゃないの?」という師匠の読みを現実にした。
両親ら家族も国技館で観戦。母・朋子さんには、母の日に最高の白星をプレゼントした。「勝てたのでうれしかった。勝ちを目の前で焼き付けてくれたと思う」と孝行を喜んだ。
幕下10枚目格付け出しでデビューしたのは昨年夏場所。初日は黒星だった。「自分自身どうなることかと思った。まさか1年後、初日に横綱に勝つとは考えてもなかった」。想像をはるかに超える速度で成長を遂げる大器。春場所でわずかに届かなかった初優勝へ、最高のスタートを決めた。