柔道五輪代表の斉藤立、人生初の1人海外武者修行から無事帰国「泣きそうになった」恐怖体験も乗り越え成長実感「いい経験」
柔道男子100キロ超級でパリ五輪代表の斉藤立(22)=JESグループ=が17日、海外遠征を終えて羽田空港に帰国した。五輪前最後の実戦となった12日のグランドスラム(GS)・カザフスタン大会では優勝を果たし、弾みをつけた。大会制覇は22年12月のワールドマスターズ大会以来で、「やっと勝てた。五輪前に優勝の感覚を取り戻すことが一番大事だったので、思い出せたのが一番大きい。(優勝が)1年半ぶりで、(精神的に)キツい部分があったが、これで自信を持って五輪代表と(自分で)思える」と大きな手応えを示した。
また、大会後は自ら志願して1人でアスタナに残り、現地での合宿に参加。人生初の単独での海外武者修行となったが、言葉も通じない地で移動や食事、買い物などを行い、「ノリと勢いで」乗り切った。
夜にスーパーに行った際には、後ろをつけられる恐怖体験もしたといい、「お尻のポケットに財布を入れていたので、握力でつぶれるくらい財布を握りしめた」と盗難を回避。また、帰りの空港では搭乗口がわからなくなるハプニングもあったというが、現地の日本人に助けを請いながら事なきを得て無事に航空機に搭乗。「泣きそうになった。助けてもらわなければ、今頃まだアスタナにいたかもしれない」と胸をなで下ろしていた。
自立心を鍛えるために、一人での海外武者修行は以前から温めていたというものの、初の五輪前というタイミングで実現した。「慣れない環境で、自分で切り開くことが成長につながる。むちゃくちゃいい経験ができた」。日本男子の最重量級を背負う192センチ、160キロ超の巨体がまた一回り大きく、たくましくなって帰ってきた。