元幕内琴恵光が涙の引退会見「17年間、真摯に相撲に向き合うことができた。みなさんに背中を押してもらった」
大相撲夏場所6日目の17日に現役を引退した元幕内琴恵光の尾車親方(32)が19日、両国国技館内で会見を開いた。17年に及んだ力士生活を終え「17年間、相撲に真摯(しんし)に向き合うことができた。15歳で入門して、たくさんの方に出会って、みなさんに背中を押してもらった」と涙ながらに心境を語った。
昨年の九州場所で左膝を負傷。2007年春場所の初土俵以来初めて休場した。復活を目指す中で腰のヘルニアも重なり、今年の春場所では1勝14敗と負け越し。幕下転落となり「琴恵光らしい相撲を見せることができなくなったので、そこで決断しました」と引退を決めた。
177センチ、125キロの大きくはない体で、幕内を29場所務めた。実直な人柄と相撲に取り組む姿勢は誰もが認める。現役時代に一番うれしかったことには「初めての懸賞金を師匠に渡せたこと」を挙げた。会見に同席した師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「覚えています。本当にいい力士に成長してくれたなと。本当に努力する力士なので、いずれは幕内に上がるだろうなと思っていた」と感慨をにじませた。
今後は佐渡ケ嶽部屋の部屋付きとして後進を指導する尾車親方。師匠から「若い子はみんな恵光が大好きなので、これからも頑張ってほしい」とエールを贈られると「稽古場だけが稽古じゃない。1日24時間365日、相撲に目を向けることを自分はやってきた。そこをアドバイスしていければ、1人でも多くの強い力士が誕生するのではと思っています」と抱負を述べた。
断髪式の予定は未定。