遠藤 貫禄勝ち越し 自身初のストレート給金 復活への期待こもった声援に「ありがたい」
「大相撲夏場所・8日目」(19日、両国国技館)
十両遠藤が平幕時疾風を下手投げで退け、8連勝で勝ち越しを決めた。8年ぶりの十両転落から1場所での幕内復帰へ、自身初のストレート給金で弾みをつけた。小結大の里は大栄翔をはたき込み、1敗対決を制した。大関陣は琴桜が王鵬を押し出して6勝目。豊昇龍は宇良を寄り倒して5勝目を挙げた。トップは1敗の大の里と平幕宝富士。2敗で琴桜、宇良ら5人が続く。
今場所初めてとなる幕内の土俵で、遠藤が自身初の中日勝ち越しを決めた。時疾風に右上手を引かれて寄られながら、土俵際で逆転の下手投げ。満員の館内に盛大な拍手が響いた。
苦しい体勢から、最後は投げにいった左腕を抜いて半回転する巧みな動き。「なんでできたんでしょうね。たまたまです」ととぼけつつ「体の動きとかは別にして、これ以上ない成績で来られた。それはそれでよかったと思う」と結果を前向きに捉えた。
8年ぶりの十両。古傷を抱える両膝に、テーピングはない。「今まではセーブする部分があったが、今場所はそこを意識しないで相撲がとれている。『ここでもう一踏ん張り』という思いが出ている」。師匠の追手風親方(元幕内大翔山)は、弟子の気迫を感じとった。
根強い人気を誇るベテラン。復活への期待が声援に表れている。遠藤は「ありがたい。声援に応えられた時は勝ってよかったと思いますよ」と白星での“恩返し”を喜んだ。「僕は無理だなと思っていた」というストレート給金も通過点にして、1場所で幕内に返り咲く。