北口榛花“前哨戦”Vでパリへ弾み またも最終6投目で逆転「切羽詰まらないとちゃんとできない」
「陸上・セイコー・ゴールデングランプリ」(19日、国立競技場)
女子やり投げは、昨夏の世界選手権金メダリストで67メートル38の日本記録を持つ北口榛花(26)=JAL=が63メートル45の今季自己ベストで逆転優勝した。男子100メートルで、世界選手権2大会連続入賞のサニブラウン・ハキーム(東レ)が予選2組を10秒07(追い風1メートル)で1着、決勝は10秒97(向かい風0・1メートル)で8位となり、パリ五輪参加標準記録の10秒00を突破できず、今大会での五輪内定はならなかった。柳田大輝(東洋大)が10秒21で優勝。坂井隆一郎(大阪ガス)は9位だった。
“逆転の北口”がまたも勝負強さを発揮した。5投目でライバルのルイスウルタド(コロンビア)がトップに躍り出たものの、2位で迎えた最終6投目。観客の手拍子をあおりながらリズムに乗ると、この日一番の放物線を描いて今季最長となる63メートル45をたたき出し、大逆転で国立競技場を沸かせた。「まだ余力が残っている中で勝てたことはよかった」。投てき後は小躍りして喜びをかみしめた。
昨年の世界選手権や、今年4月のダイヤモンドリーグ蘇州大会と同様、ラストに逆転してみせる“北口劇場”を日本でも再現した。「いつも通り、最後だからと思って一生懸命投げた」と振り返りつつ「(逆転劇は)いい面でもあり、切羽詰まらないとちゃんとできないところもある(笑)。でも勝負は大事なので(どんな形でも)勝ち続けられるように」とうなずいた。
昨年の世界選手権銀メダルのルイスウルタド、銅メダルのリトル(オーストラリア)も出場した“前哨戦”を制し、パリ五輪に向けて弾みをつけた。約2万人の観衆も国立競技場に訪れており「(自分が出た大会に)こんなにお客さんが入っていたのは初めて。すごくうれしかった。手拍子もたくさんの人がしてくれて大きな音でうれしかった」と感慨深げ。日本女子投てき初の金メダルを狙うヒロインは「この記録ではメダルに届かない。あと2カ月準備して、メダルを獲って帰ってこられるようにしたい」と決意を新たにした。