高安 地力見せた 復帰戦でいきなり大関撃破!元大関の意地と貫禄「気持ちは前向き」
「大相撲夏場所・9日目」(20日、両国国技館)
再出場した平幕高安が大関豊昇龍をすくい投げで破り、3勝目を挙げた。復帰戦でいきなり大関に快勝。元大関の地力を改めて示し、優勝争いのカギを握る存在になりそうな雰囲気が漂ってきた。大関琴桜は阿武咲を下して2敗を死守。1敗だった新小結大の里、平幕宝富士が敗れたため、トップタイに浮上した。優勝争いは2敗で御嶽海と湘南乃海を加えた5人が並び、混戦模様に拍車がかかった。
悠然と歓声を浴びる姿にたっぷりの貫禄が漂った。2日目以来7日ぶりの土俵でも、高安は強かった。「おかげさまでしっかり休んで良くなった。復帰戦に勝てたので、気持ちは前向きになりました」。また戦える手応えが表情ににじみ出た。
落ち着いていた。なかなか手をつかない豊昇龍にも「毎度のこと」と乱されず。もろ手突きからすぐに左を深く差すと、強引な投げを難なくしのいで、逆に力強くすくって転がした。過去8勝2敗と合口のいい大関に、また苦杯をなめさせた。
2日目に大の里に完勝して2連勝発進後、3日目の朝稽古で腰痛を発症した。無念の休場で悲願の初優勝はまたも霧散したが、勝ち越しを目指して戻ってきた。
いきなり結びの大関戦。ハードな取組編成を「ありがたい。こういうところで相撲をとれることが、お相撲さんの醍醐味(だいごみ)」と歓迎した。再出場3度、途中出場1度の“復帰戦”はこれで4戦全勝。「しょうもない相撲は見せられない。しっかり治して100%の相撲を見せられた方がいい。今日はそれができたかな」とうなずいた。
役力士の休場者が多く、今後も好成績の力士との対戦が予想される。「いいんじゃないですか。その方がやりがいがあるし、見ている方も面白い」と望むところ。10日目は琴桜が相手。「千秋楽までいい相撲をとりたい」という実力者が、賜杯レースの門番として立ちはだかる。