37歳宝富士 幕内勝ち越し一番乗り 同い年ダルビッシュ200勝に刺激 前日に愛息初観戦、1日遅れで届けた
「大相撲夏場所・10日目」(21日、両国国技館)
平幕宝富士が一山本を寄り切り、幕内一番乗りで勝ち越しを決めた。12年ぶりの十両転落から1場所で再入幕を果たした37歳のベテラン。2敗を守り、首位並走の快進撃を続ける。大関琴桜は高安に苦杯をなめ、3敗に後退した。小結大の里、平幕湘南乃海はそれぞれ2敗を守って勝ち越し、宝富士を含めた3人がトップタイ。3敗で7人が追う。
第一目標をクリアし、マツコ・デラックス似の表情は自然とほころんだ。「とりあえず幕内にいられるんで」。取り囲んだ報道陣の輪の中で、宝富士の本音が漏れた。再入幕で10日目に早くも勝ち越し。幕内一番乗りのおまけ付きだ。
一山本の突っ張りをあてがって圧力をかけると、相手の体を起こして左差し。自分の形にして寄り切った。攻め急いで2敗目を喫した前日の反省をしっかりと生かした。
9日目は、夫人と長男・慶丞(けいのすけ)くん(5)が観戦。相撲を始めて1年弱の慶丞くんは、本場所初観戦だった。偶然にも勝ち越しがかかるタイミングとなり、宝富士は「硬くなった」と勝利を見せられず。それでも、帰宅して「パパ、負けちゃった」と謝ると「いいよ。カッコ良かったよ」と言ってくれた愛息に救われた。
観戦チケットを手配したのも「もしかしたら今場所が最後の幕内かもしれない。幕内の土俵に上がっている姿を見せたかった」という思いから。1日遅れで勝ち越しを愛する家族に届け「まだちょっと続けられそうでよかった」と笑った。
日米通算200勝を達成した大リーグ、パドレスのダルビッシュと同じ37歳。「すごい。同い年で頑張っている人を見ると刺激になる」と気力は十分にある。次の目標は「欲しいっすね。(敢闘賞)一つしか持ってないので」と三賞に定めた。11日目は湘南乃海との2敗対決。勝てば単独先頭の可能性もある一番で、最高にカッコいいパパの姿を見せる。