バレー女子 急転直下の五輪出場決定 主将・古賀紗理那「素直に嬉しい」 真鍋監督「クリアして安堵している」
日本バレーボール協会は14日、国際バレーボール連盟(FIVB)およびバレーボールワールド(VW)から、女子日本代表がパリ五輪出場条件を満たした旨の通知を受けたと発表した。15日のセルビア戦、16日の米国との試合結果にかかわらず、「アジア&オセアニア、アフリカ最上位を除く世界ランク上位3位」が確定したため。04年アテネ五輪から6大会連続。13日のカナダ戦では「勝利すれば五輪出場」と通知されていただけに、前代未聞の“ドタバタ五輪切符獲得”となった。
前日の条件とは異なる吉報に選手、監督、日本協会、報道陣まで現場は大混乱だ。FIVBおよびVWは、この日の午前中にいきなり日本のパリ五輪出場決定を発表。フルセットの末に敗れた前夜のカナダ戦では「勝利なら五輪決定」と通知していたが、敗れた場合の全ケースについて世界ランクのポイント変動を計算できていなかったとみられる。
この日、選手らは試合会場で練習を行ったが、チームとしての取材対応は設定されなかった。「おめでとう!」と沸くファンの声には、苦笑いして頭を下げるだけ。協会を通じて真鍋監督は「パリ五輪の出場権を獲得することが一番の目標だった。クリアして安堵(あんど)している」とコメントした。
計算方法が複雑すぎた。FIVBは20年2月から「消化試合をなくすこと」、「世界ランクを作為的に調整できないようにすること」を目的に世界ランクの新システムを導入。対戦国同士の過去の対戦成績、獲得セット数、対戦時の世界ランク差など多くの要素を加味した算出方法で、1試合ごとに細かくランクは変動するようになった。
21年東京五輪は、1次リーグの組み合わせが抽せんではなく、世界ランクによって振り分けられた。この制度を利用して、強豪国との対戦を回避するため順位を調整したチームも存在したとされる。それを予防する意味で導入された。
関係者によると手計算は不可能で、ツールを用いて算出を行うしかない。同ツールは日本協会に共有はされていないため、2戦先などのランク変動はFIVBやVWにしか把握できず、前夜のカナダ戦も通知された“勝利なら”の条件しか分からなかった。
発表自体は釈然としないが、五輪出場をつかめたのは日本が国際大会で勝利を積み重ね、世界ランク上位をキープしてきたから。主将の古賀は「パリ五輪の出場権獲得がネーションズリーグでの目標だったので、素直にうれしい」と率直な心境を吐露した。
今大会は残り2戦。セルビア、米国と対戦する。どちらも五輪出場権を獲得しており、本番で戦うことが予想される相手。12年ロンドン五輪以来のメダル獲得を目指す夢舞台へ大事な戦いだ。「チーム全員で戦うことができるようにいい準備をしていきたい」と古賀。複雑な心境はひとまずのみ込んで、パリの舞台に集中するしかない。