伊藤鐘史氏の分析 日本代表の路線は独自性があり特性に合っている 磨きをかけていけば面白い

 「ラグビー・リポビタンDチャレンジカップ、日本代表17-52イングランド代表」(22日、国立競技場)

 日本代表は、昨年のW杯フランス大会後にエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチが就任して以降、初めての試合を白星で飾ることができなかった。計8トライを許し、後半に2トライを奪ったものの、完敗。2015年W杯イングランド大会日本代表で、リーグワン・三重ホンダヒートFWコーチの伊藤鐘史氏(43)が分析した。

  ◇  ◇

 最初にトライを取られるまでは、いいアタックが見られた。面白かったのは斎藤からFWへのパスで、そのまま斎藤がループして回ってくるプレーや、FWは走り込みながらボールをもらっていた。仕掛けがあるアタックでゴール前へ前進できて、もう少しでトライというシーンも多くあった。

 22メートルラインに入った時に得点できれば、また違った展開になっただろう。イングランドは22メートルラインに入ると、必ずと言っていいほど点を取る。打開策としては、全員がいいエリアでボールを保持し、どんどんパスでボールを動かしていくことがあったと思う。キックで裏へ転がすようなプレーがあっても面白かった。実際に松田がそういうプレーをしていた。

 目についた選手を挙げるならディアンズだ。2つのトライに絡むキーになる位置にいて、一貫していい仕事をしていた。藤原はジャッカルなど攻撃的なマインドが見られたし、松田はアタックしつつ裏を見ていて、しっかりとした視野が持てていた。リザーブとして、ゲームのテンポを上げることができた。

 前半の途中までがやりたいラグビーだったが、リーグワンではこういうアタックをしているチームはない。FWをどこに配置してとか、こういう風にセットしてとか、無駄な走りをしないのがトレンド。ただ、日本代表の路線は独自性があり、特性に合っていると思う。磨きをかけていけば強豪国はディフェンスしにくく、面白いのではないか。

 エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチのラグビーには、日本の独自性で勝つんだ、という姿勢が見て取れた。他の国のまねをするとかではなく、日本の良さで勝つという考えが軸にある。戦術については磨きがかかって、以前よりもさらに違ったことになっていくと思うが、考え方の根本についてはこれまでと変わっていない。

 今後に向けて、このラグビーをするとなると、何度も速く動くこと、速く判断することが必要になる。特にラスト20分でできるかがカギ。リザーブはさらに超速にできるかだし、先発は80分実行できるように、トレーニングで意識することが大事になる。今日は、いいアタックでは超速するけど、ターンオーバーされた時のディフェンスのスピードが落ちていた。こうなると、もろ刃の剣。そういった中での体力、気力が求められる。

 日本は若返りを図っていて、4年かけてたくさんのことを経験して、成長してもらうという考え方。今日出場した若い選手たちは、試合に出て、身をもって体験することで、成長は加速していくと思っている。

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