【朝原宣治の目】男子100m決勝で力発揮するのは坂井、東田、柳田か エネルギーにあふれてスタートラインに立つことが重要

 「陸上・日本選手権」(29日、デンカビッグスワンスタジアム)

 パリ五輪切符をかけて男子100メートル準決勝が行われ、元日本記録保持者の桐生祥秀(28)=日本生命=は10秒20(追い風0・1メートル)で3組2着となり、30日の決勝進出を決めた。昨年の世界選手権代表の柳田大輝(東洋大)、2連覇を狙う坂井隆一郎(大阪ガス)も準決勝を突破。今大会不出場のサニブラウン・ハキーム(東レ)は既に代表内定。決勝では残り2枠の五輪代表を争う。女子800メートル予選は16歳で初出場の久保凛(東大阪大敬愛高)が、2分3秒60の全体1位で決勝進出。田中希実(ニューバランス)は女子5000メートルで3連覇を果たし、5連覇した1500メートルと合わせて3年連続の2冠となった。

  ◇  ◇

 全体として、桐生選手が頑張った印象だ。予選からタイムを落とすかと思っていたが、準決勝は0秒01上げた。無風の条件で10秒0台で走っていたころに比べるときれはなく、爆発的な力を出すと言うには程遠い。それでもベテランらしく、きっちり順位を確保したと感じた。

 坂井選手は10秒00を見越して準決勝を通過したかったというのが本音。ただ、スタートがはまっていたし、走りはすごくいい。勝つという意味で、コンディションとしては一番いい仕上がりをしている。

 調子の良さは東田選手も同じだ。予選の走りは中盤から後半へ伸びがあり、余裕があった。準決勝もスルスルと柳田選手をとらえて、後半も落ち着いたレース運びをしていた。まだ余裕がある。

 一方、柳田選手は予選はかなり抑えているのかと感じていたが、準決勝を見て、これぐらいのタイムで全力を出しているのかなと思った。昨年のアジア選手権でも、ピッチがものすごく上がったときは速いが、今回のようにストライドに頼る走りになると重い。とはいえ、明日になると体調も変わってくると思う。

 決勝は、今日で見れば坂井選手が逃げ切りそうな感じがする。ただ、東田選手は中盤、後半を落ち着いて走ると速いし、柳田選手はまとめてくるはず。力を発揮してくるのは坂井選手、東田選手、柳田選手だろう。

 優勝を狙う選手の多くは、明日にピークを迎える調整で来ている。いかに疲労を回復させるかがポイントで、エネルギーにあふれた感じでスタートラインに立たないといけない。冷静にと言われても難しいだろうが、自爆が一番良くない。持っている実力を出すことが大事になる。(2008年北京五輪男子400メートルリレー銀メダリスト・朝原宣治、「NOBY T&F CLUB」主宰)

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