桐生祥秀 息子のエールを力に2着で決勝進出 全てをかけてつかみ取りたい3度目の夢舞台「何も考えずに1本ガツンといく」

 「陸上・日本選手権」(29日、デンカビッグスワンスタジアム)

 パリ五輪切符をかけて男子100メートル準決勝が行われ、元日本記録保持者の桐生祥秀(28)=日本生命=は10秒20(追い風0・1メートル)で3組2着となり、30日の決勝進出を決めた。昨年の世界選手権代表の柳田大輝(東洋大)、2連覇を狙う坂井隆一郎(大阪ガス)も準決勝を突破。今大会不出場のサニブラウン・ハキーム(東レ)は既に代表内定。決勝では残り2枠の五輪代表を争う。女子800メートル予選は16歳で初出場の久保凛(東大阪大敬愛高)が、2分3秒60の全体1位で決勝進出。田中希実(ニューバランス)は女子5000メートルで3連覇を果たし、5連覇した1500メートルと合わせて3年連続の2冠となった。

 『桐生祥秀』-。その名が呼ばれると、ひときわ大きな拍手が28歳を包んだ。自身を鼓舞するように手を叩くと、準決勝スタートラインに立った。後半の先頭争いにはわずかに及ばず2着となったが、決勝進出を決めて「ワクワクした感じ」と口調も軽やかだった。

 3大会連続の五輪出場へ、正念場を迎えている。今季は1月に室内の60メートルで当時の日本記録をマークしたが、3月から体調不良を繰り返し、数カ月間、2週間続けて練習することさえできていなかった。ようやく今大会前に調子を戻し、「何もない状態でここに立てる」。予選、準決勝と今季自己ベストを連続更新して復調をアピールした。

 思わぬエールもあった。この日は息子が幼稚園の運動会に参加しており、「パパ、一番で帰ってくる」と約束。息子はフライングで転倒し、夫人からは「フライングするなよ」と連絡があった。「子供が運動会で頑張ってる中、大人が大きい運動会で頑張ろうかねと」。背中を押されて大一番に臨んだ。

 15日に追い風参考の3・5メートルながら、9秒97をマークした柳田、2連覇を狙う坂井も決勝進出。初五輪を狙うフレッシュな顔ぶれが順調に走る中、日本記録保持者の山縣亮太(セイコー)や多田修平(住友電工)は五輪断念を表明しており、小池祐貴(住友電工)も準決勝敗退。東京五輪同種目代表が3人とも、事実上の全滅となった。

 世代交代の荒波に、日本勢初の9秒台を出した第一人者はあらがい続ける。決勝では10秒00の参加標準記録を突破して優勝すれば、五輪代表に即時内定する。「(10秒)0台、9秒台、じゃないと勝負できない」と桐生。「何も考えずにあしたは1本ガツンといく」と、3度目の夢舞台は全てをかけてつかみ取る。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス