16歳久保凛が堂々の初V! 駆け引き譲らず田中希実突き放した サッカー・久保のいとこでロス五輪の星「来年は1分台が目標」 

 優勝した久保凛=デンカビッグスワンスタジアム(撮影・吉澤敬太)
 女子800メートルで優勝した久保凛(中央)=撮影・吉澤敬太
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 「陸上・日本選手権」(30日、デンカビッグスワンスタジアム)

 女子800メートル決勝が行われ、サッカー日本代表MF久保建英(レアル・ソシエダード)をいとこに持つ久保凛(16)=東大阪大敬愛高=が、初出場ながら2分3秒13の自己ベストで初優勝を果たした。高校生女王は16年の福田翔子(松江北高)以来8年ぶりの快挙で“ロサンゼルスの星”が大躍進した。今大会で1500メートルと5000メートルで2冠の田中希実は7位。女子100メートル障害決勝は福部真子(日本建設工業)が2年ぶり2度目の優勝を果たし、パリ五輪代表に内定した。

 レース中のりりしい表情から一転、チャーミングな笑顔で表彰台の中央に立った。日本選手権では16年の福田翔子(松江北高)以来、8年ぶり高校生女王に輝いた久保は「初めての日本選手権で結果を出せて率直にうれしい」と感想を漏らした。

 大舞台も強気で押し切った。出だしは他選手の様子をうかがうように3番手でレースを進め、2周目に入るころに前へ出てきた田中を抜き返した。そのまま先頭に立ち、終盤は引き離してゴール。自身が5月の静岡国際で作ったU18(18歳未満)記録を更新する2分3秒13をマークした。憧れの田中から「おめでとう」と声をかけられると、深く頭を下げた。

 駆け引きを仕掛けてくる田中とのレースだったが「田中選手が前に来た時、絶対に抜かれてはいけないと思った。抜かれずにとどまれたのがよかった」と譲らなかった。しかし、今年の目標が1分59秒30の五輪参加標準突破や2分2秒57の高校記録更新のため、「狙っていた数字に届かず、悔しい部分はある」と手放しで喜ばないところが大物ぶりをうかがわせる。

 この半年で大きな飛躍を遂げた。4月の選抜中・長距離大会、5月の静岡国際と木南道孝記念のシニアの4大会に出場し全勝。来年、東京で行われる世界陸上や4年後のロサンゼルス五輪もはっきり見えてきた。「来年(世界陸上)や4年後(ロス五輪)に絶対出場する気持ちを持って、今日から練習に取り組みたい」と決意を示し、「世界では2分を切る人が当たり前。その差を縮められるように、来年は1分台が目標。世界の大会で入賞は高い目標だが、徐々にこなしていきたい」と力強く宣言した。

 ◆久保 凛(くぼ・りん)2008年1月20日、和歌山県串本町出身。小学5、6年のときに県内の大会で記録を出したことをきっかけに、中学1年で本格的に陸上を始めた。父・健次郎さんの兄の子供が久保建英。小学1年から6年までサッカーをし、ポジションは右サイドハーフ。6年時に串本ジュニアFCとして近畿大会出場。陸上では昨年の全国高校総体を高校1年で初優勝した。167センチ。

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