【朝原宣治氏の眼】坂井選手が勝ち切れたのは自信を持って臨んだことが一番 東田、柳田選手に執念感じた

 「陸上・日本選手権」(30日、デンカビッグスワンスタジアム)

 男子100メートル決勝が行われ、22、23年世界選手権代表の坂井隆一郎(26)=大阪ガス=が、10秒13で2連覇を果たした。ともに10秒14のタイムで東田旺洋が2位、柳田大輝が3位だった。今大会はパリ五輪に内定済みのサニブラウン・ハキーム(東レ)が不出場。残り2枠の五輪切符は、2日に確定予定のパリ五輪の世界ランク次第となる。男子110メートル障害は村竹ラシッド(JAL)が13秒07で初優勝し、五輪代表に内定した。朝原宣治氏は「坂井選手が勝ち切れたのは、自信を持って臨んだことが一番」と勝因を分析した。

  ◇  ◇

 坂井選手が勝ち切れたのは、自信を持って臨んだことが一番だ。スタートからの加速や、最後にスピードを落とさない練習を繰り返しやってきた。決勝で伸び伸び走るのは無理。力みがあったりするし、準決勝からタイムを落としたが、勝ち切ったことが良かった。

 東田選手、柳田選手は、よくタイムを上げた。昨日までは坂井選手が少し抜けていると思っていたが、2人が高い集中力で追い上げたことに、ものすごい執念を感じた。東田選手はまた一皮むけるだろうし、柳田選手が決勝へ向けてまとめてきたのはさすがだ。

 連覇は難しい。新しい選手は出てくるし、ベストを尽くしても負けることはある。サニブラウン選手が出ていたら、また違った展開になっていただろう。ただ、坂井選手はきっちり力を出し切った。冬のハードな練習で疲労が蓄積し、うまくシーズンインに持って行けず、9秒台への期待もあった中、調子が上がらない焦りもあったが、ギリギリ間に合わせた。

 パリに向けては、雨だったとはいえ、もう少しタイムが必要だ。決勝を見据えると全然足りない。坂井選手はシーズンインが遅く、個人で出られるのであれば、調整して体調が上がる可能性はある。うまくいけば決勝にいけるぐらいの戦いをしてほしい。

 今大会は高校生が活躍したが、シニアだからとか限界を作らずにやっているのがいい。今回U20と一緒にやって、若い選手たちは刺激を受けることもある。いい目標とか憧れが、プラスに働いてきていると思っている。(2008年北京五輪男子400メートルリレー銀メダリスト、「NOBY T&F CLUB」主宰)

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