男子100m・坂井隆一郎が2連覇! 歴史的大接戦、2位との差はわずか0秒005「神様が勝たせてくれた」

 ゴールする(右から)坂井隆一郎、柳田大輝、デーデー・ブルーノ(撮影・吉澤敬太)
 男子100メートルで優勝し、ガッツポーズする坂井隆一郎
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 「陸上・日本選手権」(30日、デンカビッグスワンスタジアム)

 男子100メートル決勝が行われ、22、23年世界選手権代表の坂井隆一郎(26)=大阪ガス=が、10秒13で2連覇を果たした。ともに10秒14のタイムで東田旺洋が2位、柳田大輝が3位だった。今大会はパリ五輪に内定済みのサニブラウン・ハキーム(東レ)が不出場。残り2枠の五輪切符は、2日に確定予定のパリ五輪の世界ランク次第となる。男子110メートル障害は村竹ラシッド(JAL)が13秒07で初優勝し、五輪代表に内定した。

 降りしきる雨を引き裂くように号砲が鳴り、坂井が“カミソリスタート”で勢いよく飛び出した。後半は力んだこともあり、柳田、東田との大接戦となったが押し切った。2位東田との差は、わずか0秒005。「本当に分からなかった」が、優勝が発表されると、安心したように頬を緩めた。

 「ここまで頑張ってきたので神様が勝たせてくれた」

 22年に10秒02を出して注目を集め、世界選手権は22、23年と出場。昨季は日本選手権を初制覇するなど一見好調だったものの、得意なスタートが「あまり出られない感覚があった」という。世界選手権で予選敗退するなど、五輪イヤーに向けて不安が残る内容だった。

 すぐに“メス”を入れたのが、群馬大教授でコーチを務める吉田浩之さんだった。冬季練習に入るのは「スタートから加速する中間までを、きっちりいい感じで走ることが定着してから」と、武器を磨くことを優先させた。

 「加速ドリル」として、ハードルに手を置いて足を繰り返し上げる練習を入念に行った。派手さはない、地味な鍛錬が力になった。今季のシーズンインは遅れたが「どの試合でも思うようなスタートができた」とひそかに調子を取り戻した。「始まる前から吐きそう」な大一番を制し「100点で褒めてあげてもいい。押し切れたのは成長の証し。吉田コーチの言葉を信じてこられて本当に良かった」と感謝した。

 パリ五輪代表は東田がほぼ確実にしており、残り1枠を坂井と柳田で争う構図。坂井はパリ五輪ランクで上位56人に入れば獲得し、入らなければ柳田が得る見込みとなった。「本当にぎりぎり。どうなるかは分からない」としながらも「一番は9秒台を出してパリの決勝で走ること。(100メートル代表内定で出場になる)400メートルリレーは金メダルを狙いたい」と五輪での夢も語った。パリへの望みはつなぎ、後は天命を待つ。

 ◇坂井隆一郎(さかい・りゅういちろう)1998年3月14日、大阪府豊中市出身。中学1年で陸上部に入り、競技を始めた。大阪高、関大を経て大阪ガスに所属。日本選手権は22年は2位、23年に初優勝。22年布勢スプリントで10秒02の自己ベストをマークした。世界選手権は22年に準決勝で敗退、23年は予選敗退。171センチ、64キロ。

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