坂井隆一郎が男子100m五輪切符確実に ホープ・柳田大輝は落選見込み 明暗を分けたのは1000分の5秒とわずか1点の世界ランク

 世界陸連(WA)は2日、パリ五輪の世界ランクを更新した。陸上男子100メートルで代表切符が明確になっていなかった残り1枠は、坂井隆一郎(26)=大阪ガス=がパリ五輪の世界ランクで56位以内に入る見込みとなり、代表切符が確実となった。これにより、柳田大輝(20)=東洋大=が落選する見込み。このパリ五輪世界ランクの公表を受けて、日本陸連は近日中に正式に代表を発表する。

 実質的な“最終選考会”だった日本選手権(6月27日~30日、新潟)では、男子100メートル決勝で向かい風0・2メートルの条件下、昨年世界選手権代表の坂井が10秒13(10秒129)で2連覇。伏兵・東田旺洋(28)=関彰商事=が10秒14(10秒134)で2位。昨年アジア選手権優勝のホープ・柳田は同タイム着差ありで10秒14(10秒139)の3位となり、1位と3位の差がわずか0秒01という、歴史的な大接戦の末に決着した。

 五輪切符は各国最大3枚。日本選手権前にサニブラウン・ハキーム(東レ)が代表権を獲得しており、残り2枚は日本選手権の結果次第となっていた。期間内に参加標準記録10秒00の突破者がサニブラウン以外に出なかったことから、即時内定はなし。選考条件に照らし合わせると、2位の東田がほぼ確実にしており、残り1枠を優勝の坂井と3位の柳田で争う構図となっていた。

 すぐに決着しなかったのは複雑な選考要項が背景にある。規定では世界陸連が定めるパリ五輪の世界ランク(7月2日確定予定)56位以内に入った選手の中で、日本選手権の上位から代表を選考していくことになるが、坂井の最終的なポイントを日本選手権前のランクに照らし合わせると当落線上の54位想定。各国が6月末に大会を開催していることから、最終的なランクが反映されると56位以下に転落する可能性も十分にあった。

 パリ五輪の世界ランクは各国上位3人までしか順位が表示されないが、選考条件によると、正式な順位が表示されていなくても、想定順位が上位56人に入っていれば代表切符が確実だった。55位の選手が1216点、日本勢6番手の坂井が1211点、56位の選手が1210点。日本勢2番手の32位で表示されている柳田が権利を失うことも踏まえると、坂井は『想定55位』でギリギリランクイン。日本選手権の優勝もわずか0秒005だったが、世界ランクもわずか1点が明暗を分けることとなった。

 6月に追い風参考3・5メートルながら9秒95をマークしていた柳田は、決勝を2位以内でゴールすれば代表切符は確実だっただけに、2位とわずか0秒005差の3位に「正直受け止めきれない。夜も眠れない毎日が続いていた。すごいプレッシャーを肌で感じていた」と大号泣。坂井も2連覇を喜びながらも「どうなるかはわからない」と複雑な表情を浮かべていた。

 世界陸連(WA)はパリ五輪の世界ランクが反映された期間を明確にしていないが、選考期間最終日となった6月30日の結果も反映されているため、今回が最終更新となるとみられる。東田も39位となり、五輪切符圏内に入っている。これにより、サニブラウンが2大会連続、東田と坂井は初の五輪切符を得る見込みとなった。

 悲願の金メダルを狙う男子400メートルリレー代表4人は、世界陸連のルールにより、まず男子100メートル代表選手が必ずエントリーされる。その次に優先される選考条件は「第108回日本選手権(※24年大会のこと)を最重要選考競技会とし、パリオリンピックリレー候補競技者の中から、リレーの特性と戦略を考慮して選考する」となっているが、柳田は『候補者』の多くの項目を満たしていることや、日本選手権3位の結果、代表リレーの経験もあることから選出は濃厚とみられる。

 男子200メートルでは16年リオ五輪400メートルリレー銀メダリストの飯塚翔太(33)=ミズノ=が日本短距離界では08年北京五輪の朝原宣治氏以来となる4大会連続の五輪出場を確実にした。

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