河村勇輝「小さな子供たちの原動力に」172cmのNBA挑戦「このサイズでもNBAに…証明したい」覚悟の裏に2人の先人「お2人の背中があったから」
バスケットボール男子パリ五輪代表で、NBAのメンフィス・グリズリーズと「エグジビット10」契約で合意した河村勇輝(23)=横浜BC=が9日、横浜市内で会見した。シーズン開幕前のトレーニングキャンプに参加し、本契約を目指す。本契約なら八村塁以来、日本人4人目のNBA選手が誕生する。
身長172センチ。2メートルを超える猛者たちが君臨する世界に飛び込む。ただ、しっかりとその覚悟を語った。「間違いなく僕がバスケットをやってきた中で1番大きなチャレンジ。僕はチャレンジすることだけで満足してるわけではないですし、まだスタートラインにも立っていない。これからしっかりNBAのコートに立って、このサイズでもNBAに挑戦して、コートに立つことができると証明して、1人でも多くの小さな子供たちがバスケットボールを始めるきっかけだったり、頑張れる原動力になれれば」と、見据えた。
見つめ続けてきた背中がある。「どのような結果になっても、田臥勇太選手だったり、富樫勇樹選手をみて、僕はこの決断を1つやってみたいなと思えるきっかけになった。あのサイズで挑戦されたお2人の背中があったからだと思っているので。それを紡いでいくというか、僕もその1人としてがんばっていければと思ってます」と、うなずいた。
河村は複数のオファーがあった中から選択に「(172センチの)小柄な僕に複数のチームからオファーがあったのは、何よりうれしいことでしたし、もちろん驚いた部分もありました。嬉しさと驚き、どちらもありましたね」と明かし、グリズリーズを選んだことについては「1番熱意があって、昨季、ジェイコブ・ギルヤード選手、僕のような体格の選手が2WAYでプレーされていたんですけど、そのような選手になってほしいと具体的な話もあり、すごくビジョンが見えた」と、明かした。
グリズリーズは渡辺雄太が所属していたクラブ。受けた助言については「グリズリーズ、ハッスルズの環境、組織の素晴らしさは雄太さんから話は聞いていたので、純粋にすごく楽しみ。直接アドバイスをいただいたのは、そう多くない。それよりも環境面のことの方が多かった。とにかく覚悟をもって、戦い抜くことができなければ、世界最高峰のリーグでは戦い抜くことはできないと、記事だったり、雄太さんからも聞く。NBAという世界は厳しい世界。しっかり覚悟をもってプレーしていきたい」と、語った。
同クラブの白井英介GMによると、昨夏のW杯直後から6月のNBAドラフト以降にかけて、複数のクラブが河村のプレーに興味を示したという。先週になり、グリズリーズから具体的な問い合わせが入り、6日に合意に至ったという。
◆エグジビット10契約とは開幕前のトレーニングキャンプに参加する選手向けに設置された契約形態で、2017-18年シーズンから導入された。各チーム最大6人まで同契約を結べる。契約期間はシーズン開幕まで。その後は解雇か、2ウェイ契約に切り替えられる。無保証の最低年俸契約だが、契約解除されても契約チームの下部組織のGリーグと契約できる。過去には20年に渡辺雄太がラプターズと、19年に馬場雄大がマーベリックスと同じ契約を結んだことがある。直近では富永啓生が、ペイサーズと同契約を結んだ。